Author Archives: 永井 潤子

警告を繰り返したメルケル首相、コロナ危機下の施政方針演説

注目されたコロナ危機下で初めてのメルケル首相の施政方針演説©️Bundestag/Achim Melde

メルケル首相は4月23日ドイツ連邦議会で、コロナ危機下で初の施政方針演説を行い、「コロナ危機はまだ初期の段階で、終わりは見えていない」と述べ、早期に規制緩和する事の危険について警告した。 続きを読む»

メルケル首相、コロナ危機対策について、市民に訴える

メルケル首相は3月18日、テレビを通じて、コロナ危機対策について、市民に理解と協力を求める演説をした。こういう形での演説は、これまでは新年の挨拶に限られていたが、今回は緊急事態での呼びかけとなった。平易な言葉で政府の立場を説明しながら、具体例を挙げて市民の理性と感情に訴えたこの演説は、名演説ではないが感動的なもので、政府のコロナ対策への信頼感を強めることにもなった。

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歴史的なドイツ連邦議会の決定

ドイツ連邦議会は3月25日、コロナウイルス危機により経済的打撃を受ける個人や企業に対する連邦政府提案の大規模で具体的な経済支援策を賛成多数で承認した。この連邦議会では、議員全員が起立して医師や看護師、介護関係者、警察官、交通機関やスーパーの従業員など、コロナ危機でも必死に働いている人たちへ一斉に拍手を送るなど、感動的な場面が見られた。この連邦政府の経済支援策は、2日後の3月27日、連邦参議院でも承認された。この異例の超スピードの審議プロセスからも、政府が緊急事態での対応をいかに重視しているかわかる。政府の取り組みや、コロナ危機についてドイツ各紙がどう評価しているのか、紹介する。

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テューリンゲン州、やっと終わった州首相選出ドラマ

3月4日の水曜日、人々の目は再び東部ドイツ、テューリンゲン州議会に向かった。この日、同州議会で州首相選出の選挙が再び行われたからである。今回州首相に立候補したのは、左翼党の元州首相、ボードー・ラメロー氏と右翼ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢 (AfD 」の州代表で党内極右に属するビヨルン・ヘッケ氏の二人だった。ラメロー氏を州首相に押す左翼党と社会民主党(SPD)、それに緑の党の少数連立政権が、キリスト教民主同盟(CDU)の閣外協力を得て樹立できるかどうか、あるいはヘッケ氏が前回2月5日のように策略を弄して、ラメロー政権の樹立を妨害するかが、焦点となった。

選挙の結果を受け入れ、州首相になることを宣誓するラメロー氏©️Jacob Schröter

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ハンブルク市議会選挙、元気を取り戻した社会民主党

ドイツ北部の街ハンブルクは、ハンザ同盟時代の「帝国直属都市」の伝統から、現在も市でありながら州と同等の扱いを受けている特別市である。2月23日に行なわれたハンブルク市議会の選挙は、今年2020年に行なわれる唯一の州選挙だったため、ドイツの政党の現状を示す選挙として、その結果が注目されていた。二大国民政党の全国的な退潮傾向が続く中、ハンブルクでの社会民主党(SPD)の予想以上の得票は、国民政党の今後のあり方を示す明るい兆候と言えなくもない。

19世紀後半に建てられた立派なハンブルク市庁舎©️www.mediaserver.hamburg.de

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ドイツ全国を揺さぶったテューリンゲン州の州首相選挙

先週ドイツは政治的な激震と津波に見舞われたような状況になった。まず、2月5日水曜日の午後、ドイツ全国に衝撃が走った。この日東部テューリンゲン州の州議会では新しい州首相選出の選挙が行われていたが、そこで予期しない、驚くべきことが起こったからだ。議会内最小の政党、自由民主党(FDP)の候補者によって、第一党である左翼党のボードー・ラメロー州首相が再選を阻まれ、その地位から追われるという事態になったのだ。よりによってリベラルなはずの自由民主党の候補者が奇襲作戦のような手口で、保守政党のキリスト教民主同盟(CDU)と右翼ポピュリズム政党である「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持を得て、1票差で、新しい州首相に選ばれた。その陰謀めいたやり方と極右政党の支持を得たことが、「ワイマール共和国時代の二の舞」と批判を浴び、直ちにテューリンゲン州議会前やベルリンの自由民主党本部前などでは、多くの市民の抗議のデモが起こった。

選挙翌日の新聞は、予想と全く異なる結果になったテューリンゲン州首相選出の様子を詳しく伝えた

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