石炭火力発電からの撤退をめぐるドイツの事情

地球温暖化を抑制するため、地球の平均気温の上昇を、産業革命以前との比較で1.5〜2度に抑えるということを決めた2015年の「パリ協定」は、異例のスピードで昨年末に発効した。以来、脱炭素化の動きがクローズアップされ、主な温室効果ガス発生源である石炭火力発電に対する風当たりが強くなっている。しかし、環境問題の先進国を自負してきたドイツには、石炭火力発電からの早期撤退を決められない事情がある。 続きを読む»

2050年までに「エコな郵便配達」を可能に

先頃、ドイツ社会民主党(SPD)党首のマルティン・シュルツ氏は、ベルリンにあるドイツ郵便の子会社を訪れ、同社の小型トラック規模の小包配達車「ストリート・スクーター」(下記写真)について誉めた。というのも、この小型配達車が電気自動車なのである。このストリート・スクーターの成功は、大手の自動車企業にとって大きな刺激になるだろう、とシュルツ氏は語った。

参考写真:Deutsche Post AG

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映画「目に見えない人たち」ー「静かな英雄たち」へのオマージュ

ナチによる組織的で大規模なユダヤ人迫害が始まったのは、1938年11月9日のことで、79年目にあたった今年の11月9日にも、この時の犠牲者を追悼するさまざまな行事がドイツ各地で行われた。また、この秋には、ユダヤ人迫害の嵐が吹き荒れた1943年のベルリンで身を隠し、生き延びることのできた若いユダヤ人の運命を描いたドイツ人監督の映画「目に見えない人たち」が封切られ、話題になっている。 続きを読む»

難しい連立政権樹立のための政党間話し合い

ドイツで9月24日に実施された総選挙の結果を受けて、3週間前から新しい連立政権樹立の可能性を探る政党間の話し合いが始まっているが、進展がなかなか見られない。この話し合いに参加しているのはメルケル首相の率いるキリスト教民主同盟、姉妹党のキリスト教社会同盟、それに自由民主党と緑の党の4党だ。党の方針に元々大きな差のあるこれら4党が一致するのは、始めから非常に難しいとされ、各党にどこまで妥協の準備があるかが注目される。連立の話し合いが失敗した場合の総選挙のやり直しも語られるなか、メルケル首相は「11月16日までに前段階の話し合いを終えて、その後本格的な連立交渉に入りたい」と話す。クリスマスまでに新政府が誕生することが一般的に望まれている。

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街ぐるみで使い捨てカップのゴミを減らそう!

人口350万人のベルリン市で、1日に消費される使い捨てカップは約46万個。その数は、1年で1億7千万個、2400トンものゴミの量に相当する。この問題に目をつけたベルリン市の清掃局が、今年の7月からマイカップの割引システムを導入した。「Better Word Cup」と呼ばれるこの活動には、すでに市内の500店舗以上の飲食店が参加している。 続きを読む»

仏原子力安全機関、南仏の原発に稼働停止命令

フランス南部、アヴィニョンの北約40キロのところにあるトリカスタン原子力発電所は、これまでもさまざまな事故を起こしてきたことで知られる。9月末、フランスの原子力規制官庁である原子力安全機関(ASN)が、トリカスタン原発の4基の原子炉すべてに稼動停止を命じたことが、最近になって明らかになった。稼動停止命令は、福島原発事故のような大事故が起こる可能性があるという理由からだった。 続きを読む»