ロシア軍による激しいウクライナ侵攻が2ヶ月も続いており、まだ終わりが見えてこない。欧州連合、特にドイツは、以前から石炭、原油、天然ガスなどの化石燃料をロシアから大量に輸入しており、今その代金がロシアの重要な軍資金となっていると言われている。そのため、ロシアからの化石燃料の輸入を減らすか、あるいは完全に断ち切るかが大きな政治的な問題になっている。輸入禁止は可能か、完全に禁止した場合にはどのような弊害が起きるのか、ドイツでの議論を中心にお伝えする。 続きを読む»
flickr©️Rainer Ralph
2045年までにカーボン・ニュートラルになることを決めているドイツで昨年、二酸化炭素の排出量が一昨年に比べて4.5%も増えてしまった。2020年はコロナ禍のためにロックダウンなどが導入され、人の移動が減り、経済活動も低下したのだが、それが2021年にはほとんど元に戻ったこと、そして強い風の吹く日が少なかったことが影響した。これで、2021年のドイツの二酸化炭素排出量は、1990年比でマイナス38.7%に留まった。
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世界中の人々が心待ちにしていた新型コロナウイルス感染症に対するワクチンが、驚くほどの速さで2020年11月に完成してから1年以上が経つ。ドイツでは既に昨年7月末から、希望さえすれば誰でもワクチンの接種が受けられるようになった。そして市民のワクチン接種率は夏に50%を超えた。しかしそれ以後は、伸び悩むようになってしまった。そのため、予防接種の義務化が議論されている。予防接種に反対する人が少なくないドイツで、果たして接種が義務になるだろうか。
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昨年は温暖化のために、世界各地で前代未聞の気温の上昇、大規模な山火事、激しい豪雨や洪水など数々の大災害が起きた。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、これ以上の温暖化の悪影響を抑えるためには、温室効果ガス(主に二酸化炭素)の排出 量を減らし、2050年までにカーボンニュートラルになることしかない。つまり、化石燃料の使用をできるだけ早くやめ 、替わりに再生可能エネルギーの利用を高めれば良いのだが、再生可能エネルギーは今のところまだ十分な量が確保できていない。そこで、二酸化炭素の排出量が少ないとされる原子力発電が再び脚光を浴びるようになってきた。ただ、原発は果たして地球の温暖化防止、人類の将来に貢献できるだろうか?
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12月8日午前、ドイツ連邦議会には9月26日の連邦議会選挙で新たに選出された議員が一堂に集まり 、今回の選挙で第1党になった社会民主党(SPD)のオーラフ・ショルツ氏を新たな連邦首相に選出した。ショルツ氏はその直後に大統領府に赴き、フランク=ヴァルター・シュタインマイヤー連邦大統領から辞令を受け、再び連邦議会に戻り、連邦首相として国民に仕えることを宣誓した。新首相の誕生した瞬間だ。続いて男女16人の閣僚も大統領府に向かい、大統領から辞令を受け、連邦議会に戻って、議会の前で宣誓した。そして新政権が樹立した。
連邦議会で国民に仕えることを宣誓するショルツ新連邦首相
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日本では主に「米ファイザー社の新型コロナウイルスのワクチン」として知られているBNT162b2。ドイツ西部、ラインラント・ファルツ州の州都マインツ市に本社を置く若いバイオンテック社が開発し、ファイザー社と組んで1年前の11月に完成させたものだ。 世界中で引っ張り凧のこのワクチン、日本人を含む世界の何億人もがすでに接種を受けている。同社からの税収入で、所在地マインツ市の財政が一挙に万年赤字から黒字に転換することが明らかになった。
ライン川添いの州都マインツ市©️Landeshauptstadt Mainz/Angela Neumann
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