電力の卸売価格が一時200ユーロ突破

ツェルディック 野尻紘子 / 2017年2月5日

余剰電力が市場に溢れていたために、電力の卸売価格が1MWh当たり30ユーロ(3600円前後 )を切るなどと低迷を続けていたドイツで、この1月25日、卸売価格が18時間にわたり100ユーロを上回った。そのうちの2時間には200ユーロも突破した。2011年以来卸売価格がこれほど高かったことはないという。

卸売価格は1月16日から高くなり出し、 価格が一時100ユーロを上回る日が土日を除き26日まで続いた。高値がこれほど長く何日間も続いたのも 2011年以来初めてだった。また、卸売価格が200ユーロを越すことは非常に珍しいのだが、1月23日の8時〜10時がそうで、これは2012年2月8日の19〜20時以来初めてだった。2月8日当日は卸売価格が12時間100ユーロを超していた。

卸売価格が上昇した主な理由は、寒くなって電気暖房の多いフランスで電力の需要が増えているのに、現在フランスで原発が何基も点検のために停止していることだ。そのためフランスへの輸出が増えた。またこの期間には曇りの日が多く、風も弱かったために自然エネルギーの発電量が減っていたことなどがある。

電力需要が増え、発電量が減ると、電力の安定供給が危ないのではないかとする声がすぐ上がるが、ドイツの4大送電網運営会社は、今のところその心配はないと答えている。送電網運営会社はドイツ連邦ネットワーク庁の指示に従い、「冬のリザーヴ」として、この冬にはドイツ国内と隣接国の8300MWの発電容量を確保しているからだ。これらの発電所は、必要に応じて稼働する。

なお、電力の卸売価格が上昇すると、再生可能電力普及促進のために消費者が電気料金に上乗せして支払う賦課金は減るか、あるいはなくなる。再生可能電力は、再生可能エネルギー優先法(略称:再生可能エネルギー法、EEG)に従い固定価格で買い取られ、固定価格の方が卸売価格より高い場合には、その差額を賦課金として消費者に負担してもらうのだが、卸売価格の方が高ければ、その必要はなくなるからだ。

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