2016年、再生可能電力緩やかな伸び

ツェルディック 野尻紘子 / 2017年1月22日

2016年のドイツの再生可能電力の発電量は 191.4TWhで、前年の187.4TWhに比べてわずか4TWhしか伸びなかった。全国エネルギー・水利経済連盟(BDEW)とバーデン・ビュルテンベルク太陽光エネルギー・水素研究センター(ZSW)の速報による。伸びがこのように小さかったのは2009年以来初めてで、原因は、天候が悪かったからだという。

BDEW代表のカプフェラー氏は、「昨年も太陽光パネルと陸の風力発電装置は増えたのだが、太陽の光が弱く、風もあまり強く吹かなかったので、自然電力の発電量が少なかった」と語った。太陽光電力は前年比で1%、陸上風力電力は 6%も減った。しかし洋上風力電力は57%、水力電力は13%、バイオマス電力も3%増えた。その結果、再生可能電力がドイツの電力消費量(注)に占める割合は32.3%で、前年の31.5%よりわずかに増えた。

発電量の詳細は: 陸上風力発電67TWh、バイオマス発電52TWh、太陽光発電38TWh、水力発電22TWh、洋上風力発電13TWh、地熱発電0.2KWh(合計の誤差は四捨五入により生じる)。

「電力消費に占める自然電力の割合が徐々に増えていることは歓迎すべきことで、二酸化炭素削減の目的にもかなっている。しかし電力の安定供給のためにはまだ当分の間、従来型の発電所も欠かせない。また、最新の連邦経済・エネルギー省の『エネルギー転換モニタリング・レポート』にもあるように、送電網の構築は急ぐ必要がある」とカプフェラー氏。

ZSWのシュタイス代表は、「新しい数字は、発電分野でのエネルギー転換が進んできていることを示すが、他の分野、特に交通分野での化石燃料への依存度は相変わらず高い。政治、経済、社会が一体となってエネルギー転換達成のために努力する必要がある」と述べている。

なお、ドイツでは2016年も電力の消費量が前年の595.1TWhに比べ0.4%減り592.7TWhになったもようだ 。この傾向は国民総生産が増加しているにも関わらず2011年から続いている。その主な理由は家電製品、照明、工業生産の効率の向上と電気暖房などが減ったことによると見られる。

注:電力の消費量とは、発電量から輸出量を差し引いたものだが、ドイツの再生可能電力は、再生可能電力優先法で促進され、またその発電方式が環境に与える効果はドイツに留まるので、計算上輸出されないものと見なされる。このため、再生可能電力の生産量と消費量は同量である。ちなみに、2016年の総発電量は648.2TWhで、再生可能電力の割合は29.5%だった。

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