ノルゥェーとドイツを結ぶ海底ケーブル、建設開始
数年前から計画されていたノルゥェーとドイツを結ぶ送電用の海底ケーブルの建設がこのほど始まった。完成すると、両国間で電力の融通が可能になる。
ノルド・リンクと名付けられたこの高圧直流送電網は、ノルゥェーの南端に位置するトンスタードとドイツ北部シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州の小さな町ヴィルスターを結ぶ全長623kmのケーブル。そのうち海底ケーブルは516kmで、ドイツ、デンマーク、ノルウェーの海域を通過し、深いところでは海底約410mの位置に敷設される。残り107kmはノルウェー側の架空電線が53km、ドイツ側の地下ケーブルが54kmとなる。送電容量は1400MWで、約360万世帯分の電力の需要が賄える規模だ。総工費は20億ユーロ(約2260億円)で、ドイツとノルウェーが折半で出資する。操業開始は2019年/2020年の見込み。
このケーブルは、ノルウェーの豊かな水源とドイツ北部で多量に発電されるが安定性に欠く再生可能エネルギーの揺れを カバーすることが最大の目的だが、寒い季節や雨量が少なく乾燥する時節に、ノルウェー側の電力供給をサポートすることも考慮に入っている。具体的には、ドイツの北海の洋上風力発電パークで生産された電力のうち、余剰分を一時ノルウェーに送電して揚水発電用に蓄えてもらい、ドイツで風が吹かず電力が不足する際には電力に戻して送り返してもらう。一方、ノルウェーで電力が不足する際にはドイツから電力を送電することも考えられる。また、ドイツで太陽が照らず風も吹かないため自然電力の発電量が減り、それに伴って電力価格が上昇する際に、ノルウェーが電力の輸出を増やすことも可能となる。
ドイツでは、ノルウェー・デンマーク間、あるいはノルウェー・オランダ間に存在する海底ケーブル経由で既にノルウェー産の環境に負担の少ない電力を購入することが可能だ。しかし、ドイツ・ノルウェー間を直接結ぶ電力網はこのノルド・リンクが初めてで、ドイツのエネルギー転換政策の一環と位置づけられている。電力供給及び送電網、電力価格の安定に貢献すると考えられる。
なお、海底ケーブルの太さは直径13cmで、1m当たりの重量は50kgだという。