欧州選手権「持続性」で優勝するのはどの国?

まる / 2016年6月26日

サッカーの欧州選手権が現在フランスで開催されていますが、参加24カ国のうち、「持続性」という意味ではどの国が強いのか。興味深い分析が発表されました。

この分析を行ったのは、ドイツのファンド運用会社「ユニオン・インベストメント」と「imugコンサルティング」社です。実際の欧州選手権の組み合わせ表をもとに、「持続性」の複数の分野での各国の”パフォーマンス”を評価、比較して、優勝国を決めています。

グループリーグを評価する基準は、トランスパレンシー・インターナショナルが毎年発表している「腐敗認識指数(CPI、Corruption Perceptions Index)」です。これによると各グループの成績は以下のようになります。

CPIによる各グループの成績
グループA
1位 スイス  86
2位 フランス 70
3位 ルーマニア 46
4位 アルバニア 36
分析「予想の範囲内だが、スイスとフランスが、ルーマニアとアルバニアに勝って突破を決める」

グループB
イングランド 81
ウェールス 81
スロバキア 51
ロシア 29
「ウェールズとイングランドが優勢。他方、惨憺たる低指数のロシアは、スロバキアにさえ0−2で完敗し、無得点で早期敗退する」

グループC
ドイツ 81
北アイルランド 81
ポーランド 62
ウクライナ 27
「ドイツも北アイルランドも、81という高指数でポーランドにもウクライナにも全くチャンスを与えない。今大会参加国で一番指数が低いウクライナは、1勝もできずに無得点。ポーランドには0−3で撃沈される」

グループD
スペイン 58
チェコ  56
クロアチア 51
トルコ 42
「どちらかというと悲しくなるような低レベルのパフォーマンス。どの国もとても”クリーン”とは見なせず、プレースタイルもどちらかというと荒くて破滅的。スペインはチェコ、クロアチア、トルコをさしおいて首位に立つが、58という指数は、他のグループであれば3位にもなれないような低さ。チェコも、欧州選手権に不相応な低パフォーマンスにも関わらず、2位となる」

グループE
スウェーデン 89
ベルギー   77
アイルランド 75
イタリア   44
「長年トップ指数を誇ってきたスウェーデンが、今回も全試合で納得のパフォーマンスを見せる。特にベルギーとアイルランドを相手には、観客を楽しませ、かつフェアなプレーを見せる。いつも40程度の指数しかもらえないイタリアは、自分たちに足りないものを悪賢さで補おうとするが、当然のごとく勝ち点0で終わる」

グループF
アイスランド 79
オーストリア 76
ポルトガル  63
ハンガリー  51
「もとより本命でないハンガリーが、3試合全くチャンスなしで最下位に。ポルトガルの指数は63で、アイスランドとオーストリアに2敗。ハンガリーにしか勝つことができない。オーストリアは近年力をつけてきているが、決定的な試合でアイスランドに追いつけず、首位を同国に譲った」

16強による試合の評価基準は、国民総生産に対する教育予算の割合

フランス対北アイルランド
スペイン対ポルトガル
イングランド対ポーランド
アイスランド対ベルギー
ドイツ対スロバキア
スウェーデン対チェコ
スイス対アイルランド
ウェールス対オーストリア

分析「最初のサプライズは、フランス対北アイルランド。北アイルランドは機知に富んだプレーだけでなく、7.28%という教育予算で勝利を確信させる。奪取したボールを閃光のごとく2、3のパスで相手ペナルティーエリアに運び、教科書通りのコンビネーションプレーによる3−0は見ていて心地よい。スペイン対ポルトガルのイベリア半島対決は、低いレベルでの戦いに。スペインはゾッとするようなミスを許し、アイディアがないどころか、途方に暮れたよう。一方のポルトガルは、いくらか弾みをつけ……スペインとの差0.3%で相手のゴールを脅かし、1−0の僅差で準々決勝進出を決める。スリル満点なのはイングランド対ポーランド。教育予算5%以下の両チームの対戦では、中盤でパスを回すだけになってしまい、PK戦に突入する。そこでイングランドがナーバスになってPK3本を外し、ポーランドが次のラウンドに進出する。それに比べると見応えがあるのは、アイスランド対ベルギーの4−3。ベルギーは独創的な攻撃と6.55%の教育予算で確信のプレーを見せる。伝統的に賢い戦術家をベンチに置くアイスランドは、手強いベルギーを相手に、常に正しい解答を出す。ドイツはグループBを3位で突破したスロバキアに苦戦。ワンツーパスと暗黙の了解による連携よりも、連携ミスと当惑した視線の方が目立った」

準々決勝の評価基準はエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合

 北アイルランド対ポルトガル
イングランド対アイスランド
ドイツ対スウェーデン
アイルランド対ウェールズ

分析「石橋を叩いて渡る段階は終わった。ポルトガルが自分たちの新たなあり方を打ち出して、北アイルランドを相手に今大会最高のプレーを見せる。コーチ陣は長年新エネルギーに投資してきており、それが新鮮な風を吹かせて、危ういところなく3−0で勝利する。しかしそれはイングランドを襲ったアイスランドの強風に比べたら何でもない。イングランドの再生可能エネルギーの割合は5%であり、90%のアイスランドを相手には、わずかなチャンスもない。アイスランドが前半だけで4−0とリード。後半になっても勢いは衰えない。地熱発電で、7−0という記録的な勝利を収める。ドイツはスウェーデンを相手に、勝つチャンスがあったものの最終的に1-3で敗退。スウェーデンは90分を通してドイツよりもパワーがあり、まだ固さの取れないドイツを相手に革新的なアイディアを持つ。前半、ドイツは原子力エネルギーの割り合いを減らそうと努力するが、試合全体を通すと、スウェーデンの再生可能エネルギー率35%には追いつけない。小康状態になるのはアイルランド対ウェールズ。両国とも再生可能エネルギーの割り合いは10%以下で、前世紀のサッカーをして、なかなか良いシーンを見せられない。無得点のまま90分を迎えるが、ウェールズのオウンゴールでアイルランドが準決勝に進出する」

準決勝で勝負を決めるのは、国民一人当たりのCO2排出量

ポルトガル対アイスランド
スウェーデン対アイルランド

分析「ポルトガルとアイスランドは既に一度グループリーグで対戦し、アイスランドが2−1で勝っている。最初の30分は両チームとも活発で、良いチャンスを作りつつ、CO2排出量なしで抑える。前半途中から、ミッドラインあたりのところで試合は硬直するが、後半ポルトガルがいきいきとした動きを取り戻す。国民一人当たりのCO2排出量がアイスランドより2トンも少ないポルトガルが、74分に1−0を決め、選手交代で新鮮な空気を得て、最終的には決勝進出を決める。アイルランドとスウェーデンも、既に対戦済み。スウェーデンは少ないCO2排出量で、ボールと相手を走らせ、エネルギーを節約。最後にその節約したエネルギーを使い、疲れたアイルランドを2−0で破る」

さて、決勝の組み合わせはスウェーデン対ポルトガルです。総合的な”持続性”が優勝を決めます

分析「スウェーデンはこの大会中ずっと支配的で、全試合に勝利してきた。CO2排出量を削減するだけでなく、再生可能エネルギーを拡大し、教育にも投資。大会が進めば進むほどさらに良くなり、どの試合でも斬新なアイディアと動きを見せ、それぞれの相手に完璧に対応することができた。ポルトガルも本気で戦いはするが、力の消耗が激しいこの大会で最後には息切れし、スウェーデンの脅威とはなれず。ポルトガルはCO2排出量を一人あたり3%削減するが、スウェーデンはそれを上回る5%を削減。前半にコンビネーションプレーで2得点、さらに後半の頭にカウンターで3−0を決め、その後は省エネモードで試合を終わらせ、当然のごとく持続性欧州王者に輝く」

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