エネルギー転換で輸出もアップ
エネルギー転換の進展が追い風になり、「made in Germany」のみどりのエネルギー技術が外国で引っ張りだこになっているようです。南ドイツ新聞の折り込み冊子「LUX360°」が特集しました。
この冊子はエネルギー、環境、経済、持続可能性をめぐるテーマについてのレポートやインタビューを掲載し、2ヶ月ごとに発行されて、南ドイツ新聞に折り込まれています。2016年4月号の「全世界のショーケース」というタイトルの記事では、ドイツのエネルギー技術が輸出のヒット商品になっているという話が扱われていました。
ドイツの革新的なエネルギー技術は発展途上国だけでなく、先進国でも求められている。それは多くの国々が気候変動との戦いにおいてドイツのエネルギー転換を参考にしているので、不思議ではない。石炭から離れて風力、太陽光、バイオエネルギーへ、それに加えてエネルギー効率。ドイツのエネルギーシステムの転換は、“made in Germany“ のみどりの技術のショーケースとなっており、世界中から注目されている。これにより、ドイツの企業は貴重な競争力を得ている。
「グローバルなエネルギー転換による、経済的なチャンスはドイツ経済にとって巨大です」と言うのはドイツ経済学研究所(DIW) のクラウディア・ケンフェルト氏だ。「世界的なエネルギー転換は、ドイツの核となる産業、例えばプラントメーカーや機械製造業などにとっても魅力的です」と同氏。例えばシーメンスは、現在すでに、再生可能エネルギー用電力網拡大のために、数十億ユーロ(数千億円)規模の事業を行っている。例えばカナダや中国の水力発電所から電力を運ぶ電力網などだ。
みどりのエネルギー技術は、とっくにドイツ経済の重要な支柱の一つになっている。風力、太陽光、バイオガスの発電施設やその部品や発電器の輸出だけでも、ドイツの企業は年間百億ユーロ(約1.2兆円)以上の売り上げを出している。それはドイツ連邦経済省が依頼した複数の調査結果でわかっている。そしてこれが10万人の雇用につながっている。さらに輸出は2040年までに4百億ユーロ(約5兆円)まで増えるというのが研究者の予想だ。
そして高く評価されるドイツの工学技術で利益を得ているのは、大企業だけではない。革新的な中規模企業、賢いスタートアップ、意欲的な小さな会社も、気候に優しく効率的な技術で外国で良い業績を上げている。
この冊子で紹介されている会社は以下の通り。
Spanner もともとは自動車の部品を作る会社。バイオマス(木)を炭化させる機械を作っている。この炭化のプロセスの中でできる発火性ガスを熱電併合システム(コジェネ)で利用すると、効率的に発電・熱供給ができる。販売先は農家、製材所、ホテルなどで、3分の1が外国。
Sto 断熱材のメーカー。熱が建物に入ってくるのを防ぐ断熱材は暑い国でも需要があり、東南アジアや中東にも支店を置く。売り上げの55%が輸出。
Braun Windturbinen 発電用ハイテク小型風車を製造する家族経営の会社。カナダ、オーストラリア、南米、ロシアなどで、配電網が行き届いていない地域で需要がある。
Industrial Solar 産業用蒸気ボイラーの代わりになる装置を開発。鏡を利用して太陽光を集め、その熱で水を過熱し蒸発させる。CO2排出量が極めて少ない。中東、米国、アフリカ、中国、インドなどに輸出。
Orcan energy 特別な液体を使って余熱で発電する装置を造るスタートアップ。欧州、特に英国が重要な市場になっている。
Aquakin 持ち歩き可能のミニ水力発電器(直径20cm、重さ600g)を製造。例えば小川に投げ込むと、5Whの電力を作れる。多くはないが、携帯電話の充電をするには十分。北米、中国、インド、日本、ブラジル、メキシコ、コスタリカなど60カ国に輸出。アウトドアスポーツを楽しむ人たちに需要があるが、2015年のチベットでの地震の際にも需要があったという。
とても楽しい、エコなミニ発電機たちですね。日本でこそ、普及させたいですね。
今、日本は甚大な被害の熊本・大分の大地震多発が収束せず、先ほども震度5強があり、また先日は野党共闘VS自民党の衆院北海道補選もあり、ドイツの情報がお留守という感じでした。