ドイツ産業界は移民問題に楽観的
ドイツの産業界は、移民問題について、どう考えているのだろうか。11月2〜3日にベルリンで開催された「ドイツ産業デー」で、ドイツ産業連盟会長、ウルリッヒ・グリロ氏が話をした。dpa通信が伝えている。記事の内容を要約してみた。
この催しには、ドイツの産業界と政治界から1200人が出席し、アンゲラ・メルケル首相も挨拶をした。難民問題については「小さく考えすぎたり、自己中心的に考えすぎたりすると、欧州にとって大きな危険になる可能性があります」と、全体像を見失わないよう警鐘を鳴らした。そして出席者に対して、「みなさんが持つ海外ネットワークを使って、この課題に共同の解決策を見いだせるようアピールしてほしい、難民は欧州内でフェアに分配するべきです」と協力を求めた。
BDI (Bundesverband der Deutschen Industrie, ドイツ産業連盟) のウルリッヒ・グリロ(Ulrich Grillo)会長は「この状況はしばらく続き、政治、経済、社会は、かなりの努力を強いられるでしょう。だから連立政権がもっと団結することがどうしても必要です」と語り、連邦政府には大きな責任があり、効率的な危機管理能力が必要だと強調した。
「難民の波を制限することはできません。庇護権は基本的な権利です。必要なのは秩序のあるプロセスです」とグリロ氏は言い、「長期的にかなりの金額をつぎ込まなければならないが、それがうまく行けば、最終的には見返りがある」との見解を示した。主な課題は、できるだけ多くの難民を労働市場にとりこむことで、現在ドイツには募集広告が出されているものだけでも、60万もの求人がある。難民たちを労働市場に入れるのが早ければ早いほど、彼らも早く税金や社会保障費を払うようになる、というわけだ。
グリロ氏は、「ドイツの経済は何もしないで自動的に成長しているわけではなく、その成長はまだ十分に持続的ではないが、今年もプラス2パーセントまでの成長を見込んでいる」と言う。その理由は個人消費と貿易収支が、今までと変わらず良い発展を見せているからだ。「難民のドイツ社会への融合がうまくいって、現在の条件が変わらなければ、2016年以降も良い発展が続く」と楽観的だ。