Eメールで大聖堂を暖める?−サーバーが出す熱の利用方法

まる / 2011年10月15日

ウスペンスキ大聖堂 (写真SamSegar)

 

 

フィンランドの首都ヘルシンキにある観光名所、ウスペンスキ大聖堂はEメールで暖房されている―ドイツの経済紙ハンデスルブラット(2011年9月11日)で読みました。何のことだろう?と思ったら、こういうことでした。

この大聖堂の地下7メートルの所には、以前防空壕だった空間を利用して作られた300㎡あるデータセンターがあって、その中に立ち並ぶ棚にはサーバーがずらっと並んでいる。このサーバーは常に熱を発しているが、この余熱を利用して水を暖める。そしてこれがヘルシンキ市の暖房システムに送られ、大聖堂の暖房にも使われている。

このデータセンターを運営するのはフィンランドのIT企業アカデミア(Academia)で、余熱を市の暖房システムに流すための”エネルギー・マネージメント・システム”を提供しているのはスイスのABB社。このテクニックにより、サーバーの余熱の約70%が再利用できる。

毎日おびただしい数のEメールが世界中で発信され、写真や動画がダウンロードされ、より速いデータ通信が可能となった現在、サーバーのキャパシティーもどんどん大きくなっている。それには当然より多くの電力が必要とされるが、その半分はサーバーの冷却に必要とされる。例えば、ウスペンスキ大聖堂地下にあるサーバーの冷却装置が停止すると、室温は10分間のうちに60℃にまで上昇してしまう。

上記のABB社の他にも、米国のエマソン(Emerson)、ドイツのシーメンス(Siemens)もこのようなサーバールームのエネルギー・マネージメント・システム提供を仕事にしており、このヨーロッパ市場をリードするのはフランスのシュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)だという。今のところ年間300億ドルの市場があり、しかも毎年8−10%の成長が見込まれる。

ネットで検索してみたところ、サーバールームの熱対策には、日本でも頭を悩まされている方たちが多いようです。今夏日本マイクロソフト社も、法人向け省エネ対策として”サーバールームの室温を2℃上げると20%の節電効果がある”という検証結果を公開しましたが、東京電力管内には160万台ものサーバーがあるそう。これを使わない手はないのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

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