再生可能電力促進の賦課金、来年据え置きの可能性
ドイツの消費者が電力料金に上乗せして支払う再生可能電力促進のための賦課金が、2015年に値上がりしない可能性が強くなって来た。年々上昇するために批判の的になっていた賦課金だが、今年 7月末までに消費者が支払った賦課金が、まだ電力生産者に支払われず10億ユーロ(約1370億円)以上 貯まっているからだ。
ドイツでは再生可能エネルギー優先法(略称:再生可能エネルギー法、EEG)に従って太陽光や風力で発電された電力が、送電網運営会社に優先的に買い取られ送電網に送り込まれる。また、生産費の高い自然電力には従来の電力に比べより高い固定価格が支払われる。その固定価格と電力取引所で扱われる電力の取引価格との差額が賦課金として消費者の電力料金に上乗せされるのだが、1kWh当たりの賦課金は同法が施行された2000年の0.2ユーロセント(約0.27円)から今年は6.24ユーロセント(約8.55円)にまで上昇している。その理由は、自然電力が大きく増加していることと、その増加のためにドイツでの総発電量が増え、電力取引所での取引価格が低下していることにある。
賦課金の額は4大送電網運営会社が、次ぎの年の再生可能電力の発電量を想定して毎年10月に決定する。2013年には実際の発電量がその想定より多かったため、生産者に払うお金が足りなくなった。そのため、今年の賦課金の額は高めに設定された。
今年7月までに消費者の払った賦課金の合計は130億ユーロ(約1兆7810億円)になった。これは消費者が昨年の同時期までに支払った賦課金より10%多い。7月だけをとると、送電網運営会社が自然エネルギーの買取りに費やした金額は25億ユーロ(約3425億円)で、賦課金で集めた金額を5億ユーロ(約675億円)上回ったという。しかし今年全体では、年初めから1kWh当たりの賦課金が昨年の5.28ユーロセント(約7.23円)より値上がりしたので、上半期には太陽が燦々と照る日が多く、割高の太陽光発電が特に伸びたにもかかわらず、 全体として賦課金がまだ残っている計算になるのだ。ちなみに、昨年同時期には17億ユーロ(約2329億円)の不足額があった。
このため、送電網運営会社は、この分では来年度に賦課金をあげる必要は無さそうだと見ている。