2013年、また下がった原発依存率
ドイツの電力発電総量に占める原子力発電の割合が2013年にまた縮小し、15.4%に下がった。前年比0.4%減に当たる。一方、再生可能電力の割合は前年比1.1%増で24.7%、総量のほぼ4分の1に達した。エネルギー転換のためのシンクタンク「アゴラ」が発表した。
再生可能電力の内訳は風力発電が7.9%、バイオマスが7.6%、太陽光が4.5%などで、それぞれ少しずつ増えた。
しかし 2013年には化石燃料である石炭と 褐炭も それぞれ19.7%(前年比1.2%増)、25.8%(前年比0.3%増)となった。化石燃料、特に二酸化炭素の排出量が多い褐炭が発電に用いられることは、地球温暖化の原因につながるので問題がある。褐炭の投入が増えた背景には、アメリカのシェールガスやシェールオイルのブームで石炭や褐炭の価格が世界中で低下していることと、二酸化炭素排出量の取引価格が現在ヨーロッパで低下していることがある。電力会社は、環境への負担は少ないが価格が割高の天然ガスで発電することを避けて、安価な褐炭を燃やして発電しているのだ。アゴラはこの現象を“エネルギー転換の矛盾“と呼ぶ。エネルギ−転換の第一の目的が、二酸化炭素の排出量を減らすことにあるからだ。ただ、褐炭業界は、2013年に162GWhの電力を発電するために投入した褐炭は、一年前より2%少なかったとし、古い装置をより効率のよい新しい装置に取り替えたからだと理由づけている。
2011年3月の福島の原発事故を受けて、ドイツでは全部で17基あった原子炉のうち8基を即座に止めてしまい、同年6月末には2022年末までに段階的に全ての原発から撤退することを決定した。それでもここ数年、電力の供給が危ぶまれるようなことはなかった。以前から充分な発電能力があったことに加えて、再生可能電力の発電能力が急速に増えているからだ。アゴラの研究者は「計算上は、停止された原発に取って代わる充分な再生可能発電能力が既にある」と報告書に書いている。再生可能電力業界連盟の発表によると、これまでに設置された 発電容量は累積で太陽光発電装置35GW、風力発電装置33.8GW、バイオマス発電装置3.4GWとなっている。
なお、昨年のドイツの発電総量は629TWhだった。