勝ち点1で1kWhもらえる? 再生可能エネルギーの大手、リヒトブリック社がドルトムントの新スポンサーに
2010/11、2011/12年シーズン、サッカー日本代表で現在マンチェスター・ユナイテッドに所属する香川真司選手がプレーしたボルシア・ドルトムントは、再生可能エネルギー会社リヒトブリック(LichtBlick)とスポンサー契約を結んだことを、このほど発表しました。リヒトブリックはハンブルクに拠点を置く1998年創立の会社で、顧客数は現在60万世帯と、ドイツの再生可能エネルギーの最大手です。供給する全ての電力は、原子力発電と石炭火力発電を使わない、100%再生可能エネルギーであるというのを売り物にしています。この提携により、これからドルトムントは練習場、事務所、スタジアムで必要とする全ての電力を再生可能エネルギーで賄うことになりました。
また、リヒトブリック社はドルトムントのファンたちのためにStrom09という料金体系を用意しており、この料金体系で契約すると、ドルトムントがブンデスリーガで集める勝ち点1に対して1kWh分の電力がプレゼントされます。例えば、今週末ドルトムントがシュトュットガルトに勝てば3kWhが、引き分ければ1kWhがプレゼントされることになります。圧倒的な強さを見せた2011/12年シーズンのように81勝ち点を集めるとしたら、1シーズンで81kWh分の電気料金が節約できることになります。月間基本料金は9.09ユーロ(約1100円)、使用料金は1kWhにつき27.09ユーロセント(約32.81円)。通常のリヒトブリックの料金体系だと、現在基本料金は8.95ユーロ(約1010円)で、使用料金は1kWhにつき27.48ユーロセント(約33.28円)です。
「リヒトブリックとドルトムントが提供するStrom09の電力は、すべて再生可能エネルギーによるものです。持続可能、誠実で公平です。(電力会社を)変えるのは簡単です。私共が一切の手続きを行います。」とアピールするのはリヒトブリックのセールス・マーケティング担当ディレクター、オラフ・ヴェスターマン氏。(電力会社を変える方法については、あきこさんの「携帯の会社を変えるように電気会社を変える」、まるの「ガスと電気をお安く」を参照)
エネルギー転換がドイツ国内のあらゆる分野に影響を与えていることは、このサイトのいろいろな記事でも感じてくださっているかと思います。それには国民的スポーツ・ナンバーワンのサッカーも含まれます(「エネルギーシフトとブンデスリーガ」)。現在ドルトムントは、バイエルンに並び、チャンピオンスリーグの舞台で欧州のトップクラブを相手に遜色ない戦いができるドイツを代表とするクラブに成長しています。成人した息子がいるとは思えない、兄貴といった印象を与えるユルゲン・クロップ監督の指揮下、マリオ・ゲッツェやマルコ・ロイスといった若くて才能に溢れる選手たちが華麗なプレーを見せています。英国のFourFourTwo誌が「今欧州で最もホットなクラブ」と紹介しているほどです。財政的にも、今季の売上高は2億5000万ユーロ(約300億円)を上回ると推測され、7、8年前に倒産寸前だったというのが嘘のようです。これからも、多くの勝ち点を集めてくれることは間違いないでしょう。
ホームスタジアムであるシグナル・イドゥナ・パークの収容観客数は8万人です。常に満員御礼であるのはもちろん、ドルトムントのファンはドイツ全国に数百万人いるともいわれています。電気料金が上がって困っている人たちが多い中、この料金体系につられて契約する人たちは多いのではないでしょうか。