太陽光発電の世界新記録

ツェルディック 野尻紘子 / 2012年6月10日

ドイツでは5月末に北ドイツから南ドイツまで、全国的に雲一つない晴天が続き、太陽光による発電量が正午を中心に20ギガワット前後になる日が何日か続いた。これは原子炉15基から20基分の発電量に相当する。ミュンスターにある国際再生可能エネルギー経済フォーラム(IWR、 Internationales Wirtschaftsforum Regenerative Energien)によると、一国内でこれほど多量の電力が太陽光により発電されたことは過去になく、世界新記録だという。

今年の5月末は、キリスト教の聖霊降臨節の連休とも重なった。関係者の間では、この 聖霊降臨節二日目の月曜日が、例年、統計的に年間で一番電力需要の少ない日に当たることが知られているという。企業も学校も休みだし、商店も閉まっており、日が長いので電灯を付ける時間も短い。気候は最適で暖房が切ってあり、冷房を入れる必要もない。そこで一部関係者の間では、この月曜日に、ドイツの電力需要が一時的にでも100%再生可能エネルギーでカバーされるのではないかとの期待があった。

しかし実際には、晴天のため風は一向に吹かず、送電網運営会社のアンプリオンによると、全国の電力需要を賄うにはほど遠かったという。ただし、風が強く吹いていたとすれば、更に約20ギガワットが加わったことになり、再生可能エネルギーで100%カバーするということが理論的には完全に非現実的であった訳ではないと同社のスポークスマン、プロイス氏は語る。

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