再生可能電力の賦課金、2022年から下がる見込み

こちゃん / 2017年6月11日

エネルギー転換のためのシンクタンクである「アゴラ」によると、再生可能電力促進のためにドイツの消費者が2000年以来電力料金に上乗せして 支払っている賦課金は、 2020年から上がらなくなり、2022年からは下がる見込みだという。ドイツの経済新聞「ハンデルスブラット」が報道している。

ドイツでは、太陽光や風力で発電された電力の普及促進のために2000年に再生可能エネルギー優先法(略称:再生可能エネルギー法、EEG)が施行された。この法律は、再生可能電力を20年間優先的に、従来の電力より高い固定価格で買い取ることを決めていた。法施行直後の買い取り価格は、当時の高いソーラーパネルや風車の価格に相応して高かったが、その後の装置価格の低下に伴い次第に下がってきた。それでも再生可能電力の買い取り価格は、つい先ごろまで、従来からの電力の価格に比べてまだ相当高かった。

高い再生可能電力の買い取り価格と、電力取引所での電力の卸売価格との差額は賦課金として 消費者が電力料金に上乗せして支払う。単純には、再生可能電力が増えれば増えるほど、その高い買い取り価格が影響して賦課金が増えると考えられるのだが、賦課金の額は電力の卸売価格にも左右される。電力の卸売価格は、電力が市場で不足気味ならば高くなるが、多すぎれば下がる。卸売価格が下がると、高い再生可能電力の買い取り価格との差額は更に増大するので、賦課金の額が高くなる。

ドイツには再生可能電力の普及に貢献しようとソーラーパネルや風力発電装置に投資した人たちが大勢いる。また、自然電力への投資は長い間、 十分に採算の取れる良い投資でもあった。それが理由で、再生可能電力に投資した人たちは決して少なくない。その結果、再生可能電力は爆発的に普及したとも考えられる。そして、再生可能電力は数年前からドイツの電力総発電量の3分の1を占めるようになっている。

ドイツにはしかしまだ原発もあるし火力発電所も沢山ある。そこに沢山の再生可能電力が追加されたので、市場には数年来電力が溢れている 。再生可能電力が増えれば増えるほど、市場には更に電力が溢れ、電力の卸売価格は下がっていく。そしてそれが賦課金の上昇に繋がっていく。

2000年には、促進する再生可能電力の量が少なかったために1kWh当たり僅か0.20ユーロセント(0.25円)だった賦課金は、徐々に増える再生可能電力の発展に伴い2005年には0.69ユーロセントになった。2010年には既に2.05ユーロセント、ソーラーブームや風車数が急増した後の2015年には6.17ユーロセントと高騰しており、現在は6.88ユーロセント(8.6円)となっている。(注:1ユーロ = 125円で換算。)年々上昇する賦課金は、消費者の負担が増えていることを意味し、ここ数年来政治家や消費者の頭痛のタネになっている。また、再生可能電力の増加は、ドイツ政府が達成しようとしている原子力と化石燃料からの離脱であるエネルギー転換に貢献するとされているが、お金が掛かりすぎるという批判の対象にもなっている。

この増え続ける賦課金にブレーキを掛ける一つの手段が、昨年7月に改正され、今年1月に施行された「再生可能エネルギー法2017」だ。今までの固定価格での買い取り制度を廃止し、競争入札制度を導入し、最も低い買い取り価格を提示するプロジェクトの提示者が落札することになっている。提示された買い取り価格は、やはり20年間支払われることが確約されるのだが、この4月に行われた第一回目の洋上風力発電の入札では、国の保証する買い取り価格を一切不要だとしたプロジェクトも落札した。その後行われた陸上風力発電の入札でも、提示された買い取り価格の平均は1kWh当たり5.71ユーロセントで、現在支払われている約9ユーロセントよりかなり少ない。

「アゴラ」は、これからの新しいプロジェクトで提示される買い取り価格は更に低下するだろうと見ている。また2020年以降には、2000年以来高い固定買い取り価格を得ていた再生可能電力の20年間の促進期間が徐々に終わっていき、支払いが軽減すると考えている。「アゴラ」のグライヒェン所長は「我々は、再生可能電力促進のための賦課金は、これから数年間でドイツ政府が考えている以上に下がるだろうと予測している。そして 2035年の賦課金は、1kWh当たり2.66 ユーロセントになるだろうと算出した。これは今までの政府の予測より3.3ユーロセント安い」と語る。「そうなると、2035年に消費者と企業が支払う賦課金は、今までの予測より約105億 ユーロ(約1兆3125億円)少ない計算になるだろう」とも言う。ドイツの消費者が支払った昨年の賦課金の合計は約255億 ユーロ (約3兆1928億円)だった。

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