すこし違ったトイレの話

やま / 2015年9月27日

ドイツや日本のNGOがアフリカの貧しい地域で、排泄物から堆肥「テラ・プレタ」を作るトイレの建設に努めています。
「飢餓、貧困など経済的な理由で、難民が黒い大陸アフリカからヨーロッパへ押しかけていると思うのは間違いだ。1日の生活に1.25ドル以下しか持たない人々は健康状態からみても、経済的にみても、村から脱出することができない」とあるジャーナリストは述べていました。「テラ・プレタ」が作れるエコサントイレは村に残った人々の「希望の星」となっています。

エコサントイレはエコロジカルサニテーション(環境衛生式)トイレの省略でバイオトイレとも呼ばれています。私がドイツ語圏のネットで見つけた例は、ベルリン工業大学の学生とタンザニア・カゲラ州の団体との共同プロジェクトでした。排泄物を資源として使い、持続可能な食糧生産を確保していきます。循環過程は次のようです。
1             し尿分離型専用セパレート便器を使用する。
2             バイオ・エネルギーにより大便の殺菌処理をする。
3             バイオ炭と他の有機廃棄物を混ぜてテラ・プレタが出来る。
4             テラ・プレタ及び、尿からできた液肥を土壌に投入する。
5             栽培された食物を収穫する。
6             収穫物を料理して食べたあと、人間はトイレに入る。循環過程1に戻る。

kreislauf_deutsch_shot_imagelarge自然と人間の循環活動

このプロジェクトが紹介されていたのは「国境なき技師団」のウェブサイトでした。有名な「国境なき医師団」とは、名前は似ていますが、両組織は関連していません。「国境なき技師団」は途上国で技術事業を実施する支援財団で、2003年にドイツ・マールブルグ市で設立されました。現在、本部はベルリンにあり、ドイツ全国で32の都市に地域支部が置かれています。特に目立つのは、これらの32の都市には州立工業大学、または州立工業専門大学があることです。活動範囲は水道施設、衛生施設、橋や建物の建設、エネルギー供給などの技術的な支援です。メンバーは現在2000人ほどで、様々な分野の技術者及び建築家、そして工学を専攻する学生たちで構成されています。団体が目指す目的は「知識を分け合い、未来を築く」とあり、常に現地の地域団体との共同事業を行っています。

エコサントイレについて、日本語のネットで見つけた例は「トイレで豊かな村づくり」というプロジェクトです。京都の町屋に事務所を持つNICCO公益社団法人が始めたこのプロジェクトは、今年、「日本トイレ大賞」を受賞しています。

ドイツ人にとって「日本で最も不思議なもの」のひとつとして、ウォシュレットがよく取り上げられています。ドイツを訪れる日本人は、冷たい便座に座るたびに、便利なウォシュレットが恋しくなると聞きます。スマフォにアプリをインストールして、水温、水勢、照明、音楽などの操作可能なハイテクのウォシュレットが開発されている一方、日本でも産学共同でエコサントイレの研究が進められていると聞きました。「近い将来実用化されれば、一般住宅・公衆トイレ・災害時トイレ・山岳トイレ等に、大きな革命をもたらす可能性が大きい」とウィキペディア日本語版に掲載されていました。開発途上国だけではなく、資源が少なくゴミの多い国にとって、エコサントイレがいつか「ごく普通のトイレ」になるのはおかしくないかも知れません。

自然と人間の環境循環の説明図はダニエル・ムッツさん(Daniel・Mutz)が描いたものです。リンクはhttp://www.ingenieure-ohne-grenzen.org/de/Regionalgruppen/Berlin/Projekte/Carbonization-and-Sanitation-CaSa/Das-Projekt

 

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国境なし技師団のウェブサイト

「トイレで豊かな村づくり」のウェブサイト

 

 

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