ベジタリアンに最もフレンドリーなスタジアムは?

まる / 2015年6月28日

動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of Anmimals、略称PETA)ドイツ支部が、ブンデスリーガで最もベジタリアンにフレンドリーなスタジアムのランキング(2014-2015年シーズン)を発表しました。第1位に輝いたのは意外にも……?

FCシャルケ04のフェルティンス・アレナでした。サッカー観戦といえば典型的なソーセージやポテトフライの他に、ディップ付き揚げカリフラワー、豆腐シャシリク(串焼き)、野菜バーガー、ブルガー小麦のサラダなどが売られているそうです。なぜ意外かというと、シャルケの会長であるクレメンス•トゥニエス氏は、欧州でも最大手の一つに数えられる精肉業者で、「肉屋」として知られるからです。それにシャルケのホームタウン、ゲルゼンキルヒェンは炭坑の町で、ステレオタイプかもしれませんが、ベジタリアンの炭坑夫というのも想像しにくいです。

第2位は、これも同じく「肉屋」が長年会長を務めてきたFCバイエルンです。脱税の罪で現在服役中のウリ・ヘーネス氏も、南ドイツの肉屋の息子として生まれ、サッカー選手としてのキャリアを終えてから、バイエルンでマネジャーを務めると同時に、精肉業者として成功しました。シャルケのトゥニエス会長とは、「顔を合わせたら、豚の肩肉の話しかしない」と冗談を言っていたこともあります。バイエルンのアリアンツ・アレナで売られるベジタリアン用メニューは、トマトスープ、野菜のアンティパスティをのせたバゲットパン、菓子パン各種だそうです。

第3位はボルシア・ドルトムント。「シャルケの宿敵ドルトムントは、今季はベジタリアン・ランキングでも負け。バイエルンにはポカールでしか勝てなかった。それでもベジタリアン用特別売店という強力な攻撃で3位につけた。ほんとうにぱっとしないシーズンだったが、シグナル・イドゥナ・パーク(スタジアム)でファンたちは、焼きポレンタ、野菜パン、大豆スティックなどで力をつけることができた」とPETAは書いています。

4位はベークドポテトや野菜のマウルタッシェン(シュヴァーベン地方の料理で大きな餃子のようなもの)が食べられるシュツットガルトのメルセデス・ベンツ・アレナ。

最下位になったのは1899ホッフェンハイムのWIRSOLライン・ネッカー・アレナです。ここではフライドポテトとパンしか、肉抜きメニューがないそうです。

ドイツには780万人のベジタリアン(人口の10%)がいるという統計がありますから、ホッフェンハイムのような状況だと、単純に困る人も多いはずです。だから近年多くのスタジアムでベジタリアン用のメニュー置かれるようになったのは、ありがたい話です。PETAに協賛する元ドイツ代表ゴールキーパーのティモ・ヒルデブラントは、「自分たちが食べるものがどこから来ているかについて考えるスポーツ選手やファンたちが増えている。多くのスタジアムでこういうメニューが置かれるようになったことを僕個人としても嬉しく思う」とコメントしています。

ちなみに、牛肉1kgを生産する過程で排出される温室効果ガスは、CO2に計算して約36kgにもなるそうですから、ベジタリアンにフレンドリーということは、環境にもフレンドリーなようです。

ブンデスリーガのスタジアム ベジタリアンフード・ランキング

1位 FCシャルケ04
2位 FCバイエルン
3位 ボルシア・ドルトムント
4位 VfBシュツットガルト
5位 SCフライブルク
5位 ヴェルダー・ブレーメン
6位 ボルシア・メンヘングラッドバッハ
6位 アイントラハト・フランクフルト
6位 1.FCケルン
7位 VfLウォルフスブルク
8位 FCアウグスブルク
9位 バイエル04レバクーゼン
9位 ハンブルガーSV
10位 ヘルタBSC
10位 SCパーダーボルン07
10位 1.FSVマインツ05
11位 TSG1899ホッフェンハイム

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