再生可能エネルギー分野に乗り遅れて赤字に? ドイツ電力大手RWE

まる / 2014年3月16日

ドイツの電力・エネルギー会社の4大大手の一つ、RWEは2月4日、2013年度28億万ユーロ(2,8 Milliarden Euro、約3900億円)の赤字を出したと発表しました。ペーター・テリウム社長は、「再生可能エネルギーに参入するのが遅れた。遅すぎたかもしれない」としています。

ドイツ政府がエネルギー転換を決めてから、RWEの黒字幅は近年減少の一途をたどっていましたが、前年はまだ13億万ユーロの黒字を出していました。赤字を出したのは、戦後初めてのこと。再生可能エネルギー・ブームのために、稼働しないことが多くなったガスと石炭による火力発電所で巨額(48億万ユーロ)の減損処理を余儀なくされたからだそうです。しかしテリウム社長は、「再生可能エネルギー部門に参入するのが遅れた」と、同社の戦略的なミスがあったことも認め、それでも同社はエネルギー転換を後ろ盾し、成功させるために全力を尽くすつもりであることを明言しました。

南ドイツ新聞の解説欄では、ウルリッヒ・シェーファー記者が「ドイツの大手電力会社は、エネルギー転換がまるで福島原発事故のあった3年前に突然襲ってきたかのような印象を与えようとする。しかし、実際に再生可能エネルギー優先法(EEG)が作られたのは既に2000年のことである。ということは、RWEも再生可能エネルギーが従来のエネルギーにとって代わるまでに、準備を進める時間はたくさんあった。ところがRWEは何をしたか?」と疑問を投げかけています。そして同社が、2005年にドイツ、オランダ、英国で巨額を投じて火力発電所を作り始めたこと、再生可能エネルギーの子会社を作ったのはその2年後、2007年になってからだったことを指摘しています。

しかしシェーファー氏は同時に、RWEの運命が、エネルギー転換の根本的な問題を露呈しているとした上で、「EEGには改革が必要であるだけである。さらに連邦・州政府は、再生可能エネルギーのせいで儲からないといって、全ての火力電力所が稼働しなくなる状況を防がなくてはならない」とも指摘しています。特にガスによる火力発電所は、必要な時にすぐに稼働でき、十分に太陽が出なかったり、風が吹かなかったりする時に必要になってくるからです。

この解説欄についているタイトルは「自業自得 − しかし、それだけでもない」となっていて、とてもフェアだなと思いました。

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