ドイツの88%の人がエネルギー転換を楽観視

まる / 2013年8月25日

ドイツ連邦政府がエネルギー転換を決めてから2年あまり。ドイツの人たちはそれについてどう考えているのだろうか。ドイツ全国消費者センター連盟(vzbv、 Vebraucherzentrale Bundesverband e.V.)は8月12日、アンケート調査の結果を発表した。

このアンケートの対象になったのは、ドイツに住むドイツ語を話す14歳以上の1227人で、そのうち270人は太陽光発電装置を所有する人、または設置を計画している人だ。調査は2013年6月10−20日の間に、フォルサ社会研究•統計分析会社(forsa Gesellschaft für Sozialforschung und statistische Analysen mbH)が実施した。地域(旧東ドイツ地域と西ドイツ地域)、年齢、性別、収入別の分析もしている。

まず、「エネルギー転換という言葉を聞いたことがあるか?」という質問に「ヤー(はい)」と答えた人は93%。「ナイン(いいえ)」と答えた人は4%だった。

地域別(東と西)や年齢、収入に関わらず、ほとんどの人がこの言葉を知っている。そして「エネルギー転換」という言葉ですぐに思いつくのは、59%の人が「再生可能エネルギー」、40%の人が「脱原発または福島」であると答えた(複数回答も可)。そして同時に、21%の人が「高くつきすぎる、市民に経済的な負担がかかる」との批判を述べた。

エネルギー転換の目的を「まったく正しい」と考える人は43%、「どちらかというと正しい」とするのは39%で、「まったく正しくない」としたのは3%のみ、「どちらかというと正しくない」としたのは13%だった。

しかし、エネルギー転換のこれまでのやり方については、「まったく正しい」が3%で「どちらかというと正しい」が37%。「まったく正しくない」の13%、「どちらかというと正しくない」の35%と否定的な意見がやや上回った。そしてエネルギー転換の進行速度についても、45%が「遅すぎる」とし、「速すぎる」とした18%を大きく上回った。

エネルギー転換のポジティブな効果としては、38%の人が「気候と環境の保護」を挙げ、23%の人が「脱原発により安全性が高まる」と答えており、「エネルギー消費量を減らし、エネルギー効率が上がる」(19%)、「二酸化炭素の排出が減少する」「持続性、生活の質が高まる」と答えた人たちもそれぞれ11%おり、割合は低いものの、「ドイツがパイオニアになる。他国の手本となる」「雇用が創出され、投資が増える」とした人もいた(各2%)。一方、エネルギー転換のネガティブな効果としては、52%の人たちが「エネルギー料金が高まること」としている。

エネルギー転換には「明らかに長所の方が多い」「どちらかというと長所の方が多い」と答えたのはそれぞれ25%、44%で、「明らかに短所の方が多い」「どちらかというと短所の方が多い」の6%と16%を大きく上回った。

長所の内容としては、「特にこれからの世代にとって生活のクオリティーが高まり、環境がさらに良く守られる」に支持が集まり(84%)、「ドイツは他国の資源に頼らなくてもよくなる」「ドイツはパイオニアになり、他国のお手本となる」に同意した人も70%以上いた。

ただ、市民にとっての現時点での長所について訊ねたところ、32%の人が「多い」とするのみで、「短所が多い」とする人が50%と大きく上回った。しかし長期的に見れば「長所が増える」と答えた人は53%で、「短所が増える」とした人が31%と逆転した。

電気料金の負担が増え、送電網の整備や洋上風力発電パークの建設が思うように進まない中、ドイツの市民たちがエネルギー転換が成功するかについてどのくらい楽観的または悲観的なのかが興味深かったが、「成功する」、「一部を除いて実現する」と答えた人がそれぞれ16%と72%いた。「どちらかというと失敗するだろう」と考えている人は6%に留まり、楽観的な人がほとんどであった。

だが面白いのは、このアンケート結果に対する各メディアの反応である。たいていのメディアが「エネルギー転換は良し。実行はまずし」(ドイツ第2テレビ ZDF)とする一方、「エネルギー転換への同意が薄らぐ」(電気業界向けの専門誌 elektroboerse)、「転機は揺るがない」(ベルリンで発行される日刊紙 taz)という見出しもあった。見方によってこんなに違う解釈ができるのだと、ちょっと驚きだった。

 

 

 

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