過去8年で倍増 – グリーン•エコノミー就業者 

まる / 2013年7月7日

脱原発をすれば産業国家としての世界での地位が脅かされる、多くの失業者が出る……こういう懸念を持つ人たちは多いようです。では反対に、“グリーン•エコノミー”はどのくらいの雇用を生み出すのでしょうか。「再生可能エネルギー100%地域」のERNEUER:BARバルニム地域事務所のクリスティーネ•シンクさんによると、ブランデンブルク州バルニム郡では2008からこれまでの間に、1500人分の雇用が新たに創出されたそうです。

縦が雇用数、横が年度

ベルリンとポーランドの国境の街シュテッティンとの間に位置するブランデンブルク州バルニム郡の人口は17万7000人。旧東ドイツで産業構造が弱いと言われ、もともと人口密度も少ない地域です。旧東ドイツの多くの町村で過疎化が進む中、人口4万2000人のエーバースヴァルデなど、バルニム郡の町村はこの数年、環境や再生可能エネルギー分野の企業を誘致することに成功しています。1500人というのは“直接的な”雇用のことで、“間接的”に創られた雇用を入れると、その数は2〜3倍にもなるそうです。“エネルギー•コンサルタント”と呼ばれる人たちだけでも22人いるそうです。

ドイツ連邦環境庁が2013年3月に発表した統計によれば、2012年現在ドイツ全国で環境保護に関する分野での仕事に従事している人は約200万人。そのうち再生可能エネルギーの分野では3万7800人で、これは過去8年間で倍以上になった計算になります。

また、ドイツ全国を見渡してみると、再生可能エネルギーが創り出す雇用は、特に旧東ドイツの産業構造が弱い地域で非常に大きな意味を持っていることがわかります。例えば、ドイツ全国平均で1000人のうち10人が再生可能エネルギー分野で働いている中、バルニム郡のあるブランデンブルク州では、1000人のうち22人がこの分野で働いています。(グラフ参照)

上位に旧東ドイツの各州

ペーター•アルトマイヤー連邦環境相は2012年の夏、ハンデルスブラット紙のインタビューの中で、「エネルギー転換が成功すれば、ドイツでさらなる雇用が生まれる。エネルギー供給の改造は、ドイツ経済の地盤をこれからの20〜30年間確保し、競争力を強化する」と語っていました。

ドイツ連邦環境庁が2013年3月に発表した計算によれば、エネルギー転換によって約63万の雇用が新たに生まれるということです。ヨッヘン•フラスバート(Jochen Flasbarth)同長官によると、エネルギー転換によって、長期的には原発や石炭発電所での雇用は無くなるものの、これからは特に建物の断熱や配電網を造る専門職人の需要が増えるとのことです。

“グリーン•エコノミー”で見込まれる売り上げ高は2020年までに3兆ユーロ(約4兆億円)3,1Billionen Euroで、特にエネルギー効率の分野での伸びが予想されるといいます。もちろん、この分野で雇用が生まれても、それに対応できる人材がなければ意味がありません。現在ドイツ全国の大学や専門学校には、環境や再生可能エネルギーに関係する学部や科目が300種ほどあるそうです。前述のエーバースヴァルデでは持続可能な発展のための専門大学(Hochschule für nachhaltige Entwicklung Eberswalde)で、そのニーズに応えられる人材を育てており、企業がこの町を選ぶ際の一つの有力な判断材料になっているようです。

ちなみに、エーバースヴァルデには以下のような再生可能エネルギー企業が拠点を置いています。(エーバースヴァルデ町のホームページから)

REpower Systems  風力発電設備

MP-Tec  太陽光発電システム

UME-tec  太陽光発電モデュール

Solvires  効率的照明技術

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