バイオガスで走るゴミ収集車
集合住宅の中庭に並ぶ何種類ものゴミ箱。紙、グラス、プラスチック、リサイクルゴミ……とある中で、有機ゴミもありますが、ベルリンのゴミ収集車はこの有機ゴミで作ったガスで走っているそうです。
ベルリン市清掃会社BSR(Berliner Stadtreinigung)のバイオガス施設が稼働を始めたのは、2013年6月5日のことでした。それ以来BSRはこの施設で、ベルリンの家庭で出る年間6万トンの有機ゴミからバイオガスを作り、それでゴミ収集車150台(所有台数の約半数)を走らせています。
バクテリアで有機ゴミを発酵させて作るバイオガスですが、BSRの施設で作られるガスの成分は最高98%までがメタンで、化学的には天然ガスと一緒だそうです。これを自動車燃料に精製してゴミ収集車に注入するため、年間250万リットルのディーゼルオイルが節約でき、1万2000トンのCO2を削減できるそうです。
稼働を祝う祝典には当時のクラウス・ヴォーヴェライト市長も参加して、”できたて”のバイオガス燃料をオレンジ色のゴミ収集車に注入するセレモニーを行い、「BSRはイノベーション精神と将来性を見せた」と語りました。この祝典の日も偶然ではなかったようです。6月5日は「世界環境の日」(1972年6月5日からストックホルムで開催された国連人間環境会議を記念し、日本の提案で定められた)だからです。
ちなみに、この施設の建設を行ったのはデュッセルドルフに本社を置くストラバック環境技術社(STRABAG Umwelttechnik)で、最近ではポーランドの3カ所でバイオゴミの処理施設建設を受注しています。
ゴミの分別はなかなか面倒ですが、ベルリンの街角でオレンジ色のゴミ収集車を見て、「うちの生ゴミで走っているんだな」と思うと、ちょっとモチベーションも上がるような気がします。