ドイツの再生可能エネルギーと伸びる電力輸出
2014年第3四半期終了時点でも再生可能エネルギーが褐炭を押さえて、ドイツで最も重要な電力源となった。上半期でも再生可能エネルギーが電力源のトップに立ったことはすでにお伝えしたが、この勢いは今後も止まりそうにない。
ベルリンのエネルギー転換のためのシンクタンク「アゴラ」が10月1日に発表したところによると、今年9月までのドイツの電力生産において、風力、太陽、水力、バイオマスによる再生可能エネルギーが合計で電力消費量の27.7%に達し、褐炭の26.3%、石炭の18.5%、原子力の16%を押さえて、トップに立っている。この状況について、10月1日付の「シュピーゲル・オンライン版」は暖冬のため、電力消費が下がり、石炭およびガス発電が生産量を下げなければならなかったことが原因だとしている。ガス発電は10.4%に留まり、採算性が低くなっている。二酸化炭素排出量の取引価格が現在ヨーロッパで低下していることを受けて、気候保護にとっては有害な褐炭・石炭発電がいまだに重要な電力源となっている。
しかし、先月の選挙で選ばれたスウェーデンのステファン・ローヴェン新首相が、10月3日の所信表明で新たな気候政策を発表し、「100%再生可能エネルギーによるエネルギー供給へと転換する」と述べたことを受けて、ドイツにおける褐炭の将来が危ぶまれているとベルリンの日刊新聞「ターゲスシュピーゲル」は伝えている。同国の国営企業であるファッテンファル社はドイツの4大電力会社の一つであるが、スウェーデンのエネルギー転換を受けて、ブランデンブルグ州とザクセン州での褐炭の採掘事業を打ち切るのではないかとされている。両州にとって、褐炭採掘と褐炭による発電は、多くの雇用と直結しているだけに、今後の展開が注目される。
ドイツでは再生可能エネルギー優先法により、再生可能電力を優先的に送電網に送り込むことが義務づけられている。再生可能電力の生産量が上がれば上がるほど、従来の発電所(褐炭、石炭、原子力)で生産された電力が送電網からはじかれることが多くなる。この事態を少しでも緩和するために、オランダなどの近隣諸国へドイツから電力が輸出されることになる。10月13日に発表されたフライブルグにあるフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所 (ISE、Fraunhofer Institut für Solare Energiesysteme)は、ドイツの電力輸出は今年も昨年を上回ると予測している。2013年の電力輸出は33.8TWhであったが、今年は上半期ですでに17TWhとなっており、恐らく昨年を上回るだろうというのが同研究所の予想である。