人類の未来を決めるのは今

こちゃん / 2018年1月7日

「気候変動の危険を最小限に抑えるために、人類は1日も早く二酸化炭素の排出量を減らさなければならない。二酸化炭素をこれからも制限なしに排出するなら、我々は後日、二酸化炭素の排出量を急激に減らさなければならなくなる」と警鐘を鳴らすのは2017年のブループラネット賞の受賞者、ポツダム気候影響研究所(PIK、 Potsdam-Institut für Kilimafolgenforschung)のシェルンフーバー所長だ。毎年ベルリン自由大学で行われる恒例の「ダーレムのアインシュタイン・レクチャー」で話した。

「地球の平均気温の上昇を、産業革命以前との比較で1.5〜2度に抑えるという2015年末のCOP21で決まった『パリ協定』の目標を達成するために、もし我々が今すぐに二酸化炭素の排出量を減らしだすならば、我々は、二酸化炭素の排出量をゼロにしなくてはならない時点を2045年まで引き延ばすことが出来る。しかし、もし我々が二酸化炭素の排出量を2020年になってから減らし始めるのだったら、二酸化炭素の排出量をゼロにするべき時点は2038年にやってくる。そして、もし我々が2025年まで今までのように二酸化炭素を排出し続けるのだったら、我々は2030年以降には二酸化炭素を一切排出してはいけないことになる」と語る。

地球の平均気温を、産業革命以前の気温の2度以上に上昇させないために我々に残されている二酸化炭素の量を、世界の専門家たちは5500億〜1兆トンと計算している。例えば、2015年の世界の二酸化炭素排出量は360億トンだったので、もしこの量の二酸化炭素が引き続き排出されると、16年〜27年後には二酸化炭素が排出できなくなる。

劇的な気候変動を説明するために、同氏は地球と人類の歴史について語り出す。氷河期は何度も地球を訪れ、今から6〜7億年前、地球は一時ほぼ完全な氷の塊だった。地球が再び暖かくなったのは、その塊から煙を吐いていた火山のおかげで、大気圏に二酸化炭素の層ができたからだという。

ホモ・サピエンスは約20万年前から地球に存在するようだが、彼らが本格的に文明の進歩を遂げるようになったのは約1万1000年前に最後の氷河期が終わって気温が安定した以後のことだ。現在まで続く安定した暖かい気温の期間が地球上でこれほど長く続いたことは今までになかった。 この暖かい気温のおかげで人類は高度の文明と文化を築くことができた。しかし、この エネルギーを多量に消費する文明が今、地球自身の破滅を促進しているように見受けられる。

シェルンフーバー氏は講演で、アニメーションを使って二酸化炭素排出の歴史を示した。初め黒かった世界地図が徐々に赤くなり、赤の色が濃くなって行く。世界のどこでいつ産業が栄え、どれだけの二酸化炭素が排出されたかが一目瞭然になる。

「地球温暖化の原因は、人類が排出する二酸化炭素ではなく、自然現象だろう」と発言する人たちは世界に少なくない。しかしシェルンフーバー氏は、「あまりにも多量の二酸化炭素が大気圏に集中しているので、このままでは地球の気温が下がることはないだろう 。氷河期の到来は人類によって抑制されている」と言う。「2度の気温の上昇ということは、あまり劇的のように聞こえないが、37度の体温が2度上がると、どれだけ大変かを考えてみればわかるでしょう。5度上がれば人は死んでしまう」とも付け加える。そしてこのまま放っておけば、地球の温度が8度上昇することも予想外ではないと主張する。

だったら、文明の栄枯盛衰は避けることのできない自然法則だろうか? 200年前に始まった二酸化炭素の放出は、我々を無条件に破滅に導くのだろうか? シェルンフーバー氏の答えは「ノー」だ。同氏は、人類がまだそれに対応できると考えており、「チャンスは50対50だ」と語る。そして「世界は悪人がいるから危険なのではなく、悪を許す人たちがいるから危険なのだ」というアインシュタインの言葉で講演を閉じだ。

講演の後に短い質疑応答の時間があった。「我々はどうすればいいのだろうか?」という質問が提示された。「まず、2030年までにエネルギー源としての石炭の使用を止めること。そして2040年までに肉を食べないようにし、セメントを建築材として使用しないようにすることだ」とシェルンフーバー氏は答える。「個人にできることは?」との質問に対し、同氏は「菜食主義者になること。そして、もう飛行機に乗って休暇に出ないこと」。もはや弁解は許されない。地球温暖化を「米国経済に害を与えるための中国の発明」などとするトランプ大統領の発言に対して、「今目を閉じて何も見ないのは最もバカげたことだ」と厳しい。

なお、ブループラネット賞は、旭硝子財団により1992年に創設された地球環境国際賞で、地球環境問題の解決に大きく貢献した個人や組織に対して、その業績を称えて贈られる。

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