ドイツ統一25年、まだ終わっていない統一

こちゃん / 2015年10月4日

ドイツはこの10月3日、旧東西ドイツの統一から25周年を迎えた。どれだけの歳月が経てば、旧東西ドイツは一体となって、東西の差が無くなくなるだろうかとは、統一直後からいろいろ問われてきた。10年、一世代などという答えが多かったが、ベルリン人口・発展研究所の調査によると、種々の調査結果をドイツ地図に書き込んでみると、現在も東西の境界線はまだはっきり見えるという。

ドイツ連邦統計局の発表によると、1991年末のベルリンを除く旧東独地域の人口は1450万人(ドイツ全人口の18%)だった。それが2013年末までに1250万人(同15%)に減っている。(ドイツが分割されていた時代には、東ベルリンは東ドイツに、西ベルリンは西ドイツ属していたが、現在ベルリンは一つの街として扱われるので、東西の比較の際に統計上除かれることが多い。)約200万人の特に若い人たちが、職を求めて西ドイツに移り住んだことが理由で、他方、西ドイツのバイエルン州やバーデン・ヴュルテンベルグ州などでは人口がその分増えたという。 しかし現在は東ドイツから西ドイツへ、西ドイツから東ドイツへの住民の移動はほぼ均衡が取れている。

一方、若い人たち、つまり家庭を築く年齢の人たちが多く西ドイツに移ってしまったので、東ドイツでは20歳以下の人口の割合が西ドイツより低い。また、1990年から1994年の間に年間出生数が16万3000から7万1000と激減したこともあって、社会の高齢化が進み、1991年に46%だった40歳以上の人口が2013年には63%に上昇している。西ドイツのこの値は、この間4%しか上昇していないという。

移民の背景をもつ住民の割合は、ベルリン、ハンブルグなどの都市や、バーデン・ヴュルテンベルグ州、ノルドライン・ウェストファーレン州、ヘッセン州などの西ドイツ地域で25%を占めるが、東ドイツ地域では5%以下にとどまっている。

住民が都市に集中する傾向は東西両ドイツ地域で見受けられ、東ドイツでもドレスデン、ライプチヒ、エアフルトなどの住民が増えている。しかしドイツ統一後、住民が半分以上減った小都市も少なくない。

ベルリン自由大学のクラウス・シュレーダー教授によると、東ドイツの経済立て直しのために、1991年から今までに西ドイツから東ドイツに投入された資金は約2兆ユーロ(270兆円)に達する。その甲斐あって、東ドイツの町はきれいになったし、道路や鉄道、電気通信網などのインフラも整備された。しかし、経済面では、統一当時に西ドイツの33%だった人口一人当たりの国民総生産が今までに75%に、27%だった生産性が 71%にしか上昇していない。しかも、この水準がもう10数年来伸びていないことが問題だという。一時期17.7%もあった東独の失業率はここにきて8.7%まで下がったが、西ドイツの5.6%との間にはまだ差がある。統一以来、東ドイツでも小規模ながら優秀な会社が生まれているが、大企業が存在せず、そのため企業の研究開発やサービス業が伸びず、また、企業の国際化が進まないために、経済の発展を全体的に遅らせているという。

東ドイツ地域の個人の平均収入は西ドイツ地域の約85〜90%。社会主義のために資産を築けなかったことが影響して、東ドイツには金持ちがほとんどいない。スイスのUBS銀行が発表したUltra Wealth Reportによると、ドイツにいる 1万9000人の百万長者のうち、東ドイツに住んでいるのは多くて数百人。雑誌「マネジャー・マガジン」は、同誌の長者番付に載っているドイツ人500人のうち、東ドイツに住んでいる人は7人だと書いている。しかもその大半は西側から東に移住した人たちだ。

マックス・プランク人口統計学研究所の調査によると、東西の差が明らかに減ったのは寿命だ。1996年に79歳だった東独女性の寿命(西独女性は80.2歳)は2010年までに82.6歳(同82.8歳)と、西独女性の寿命と変わらなくなった。男性の場合は、1996年の71.8歳(西独男性は74.1歳)が2010年に76.6歳(同 78.0歳)に伸びている。特に心臓病の治療が改善されたこと、環境汚染が減ったことが貢献したという。

大学進学率や資格取得などの教育水準、子供の数、買い物の際の好みなどでも東西の差が無くなってきているという。しかし収入に差があるので、高級品を購入する東ドイツ人は少ない。また、小さい子供のいる母親が働きに出ることに批判的だった西ドイツでも、東ドイツと同じように働く母親が増えてきている。ただ、まだ東西間には差があると考えている人たちも少なくないようだ。東ドイツの人たちは西ドイツの人たちより勤勉だとか、西ドイツの人たちは威張っているなどというステレオタイプ的な考え方はなかなか消えない。東ドイツ人は、問題のあるときに国に頼りがたる傾向があるなどとも言われる。

ただし、東西ドイツ統一で一番注目に値することは、メルケル首相もガウク大統領も旧東独出身なことだ。

 

 

 

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