ベルリンから未来に向けた「かざぐるまデモ」

えみぃ / 2014年3月9日
デモ隊を先導したソーラードラム隊

デモ隊を先導したソーラードラム隊

3月8日、土曜日快晴。福島第一原発事故から3年を目前に控え、ドイツの首都ベルリンで“かざぐるま”をモチーフにした反原発デモが行われた。日独の市民団体が中心となって企画したこのデモには、昨年の5倍ほどの約1,000人が参加(主催者発表)。ベルリンのシンボルであるブランデンブルク門前から日本大使館までの約2.5kmの道のりを、デモ隊が手作りの風車をかかげて行進し、日本の脱原発と自然エネルギーへの早期転換を訴えた。

昨年、氷点下4度の中行われた反原発デモとは打って変わって、今年の「かざぐるまデモ」は春の訪れを感じさせる素晴らしい快晴に恵まれ、日中の気温は13度に達した。ピーク時には長さ約1kmのデモ隊が列をなし、合計約2時間にわたって行進を行うという大規模なものだった。主催者の報告によれば、日本大使館前で一部参加者によるアクシデントが発生し、一時警察官による拘束者もでたが、逮捕には至らなかったそうだ。

なお、デモの主催者であるベルリン在住の日本人からなる市民団体「さよなら原子力ベルリン(Sayonara Nukes Berlin)」とドイツ反原発市民団体「アンティ・アトム・ベルリン(Anti-Atom Berlin)」は、デモの前日に日本大使館で安倍首相に宛てた公開書簡を提出している。書簡内では、日本の原発再稼働反対を含む原子力からの撤退と、原子力技術の海外への輸出の停止、再生可能エネルギーの拡大などを要求している。

デモの流れ:

パフォーマンスの様子

パフォーマンスの様子

暖かい春の日差しに見守られて、13時過ぎから始まった「かざぐるまデモ」。出発点のブランデンブルク門前は、風車やプラカードをはじめとしたたくさんの黄色で埋め尽くされた。まず、主催者があいさつをしたのち、東日本大震災の被害者への黙とうが捧げられた。また、Bodypoet(“身体詩人”)カズマ・グレン・モトムラさんらが、2020年開催予定の東京オリンピックを風刺したパフォーマンス「マッドワールドダンス」を披露した。ガスマスクを装着した各国代表が、東京でオリンピックに参加し原発事故の危険に晒される一方で、政府は頑なに原発の安全性を主張するという状況が、コミカルかつシビアに表現された力作だった。

パフォーマンスの後、「Fukushima ist überall:フクシマ(のような事故)はどこでも(起こり得る)」というシュプレヒコールとともに、Greenpeaceのソーラードラム隊を先頭とするデモ隊が、日本大使館へと出発した。途中ポツダム広場では、内部被爆の専門家である岐阜環境医学研究所の松井英介所長がスピーチし、現在の福島の子供たちの置かれる状況を説明したり、日本政府に対し外国への原発輸出反対を訴えたりした。

岐阜環境医学研究所の松井英介所長

岐阜環境医学研究所の松井英介所長

その後、日本企業が拠点を置くソニーセンター、そしてベルリン・フィルのコンサートホールの前を通過したのち、日本大使館前に到着。大使館前の集会では、自然電力供給会社「ナトュア・シュトローム」(Naturstrom:「自然電力」の意味)のマルク・シュヴィンゲル氏などのスピーチが行われた。また、昨年と同様日本人女性らによって「もしもし亀よ亀さんよ」の替え歌「もしもし東電、原発よ」が披露された(歌詞はこちらへ)。最後に、大使館の大使公邸に面するティアガルテンの桜の木の周りに、デモ参加者らが手作りの風車をさした(これらの風車は、ゴミにならないようもちろん各自持ち帰った)。この桜の木は、ドイツの農民パーペさんが昨年、福島の農民への連帯を現す印として植えたものである。そして、デモの日程すべてが終わった頃、時計の針は16時を回っていた。

メディアの反応:

プラカードの例

プラカードの例

なお、「かざぐるまデモ」に関してはいくつかのドイツメディアが注目し、報じている。まず、全国版日刊紙「ディー・ターゲスツァイトゥング(taz)」が、デモ2日前の3月6日(木)にデモ開催を予告する記事を掲載し、「希望のシンボルはかざぐるま」という主催者側のコメントなどを載せている。加えてベルリンの地元公共放送である「ベルリン・ブランデンブルク放送(rbb)」がデモ当日の夜、ニュース番組「アーベントシャウ(Abendschau)」などで、その様子を伝えた。rbbに勤める知人曰く、この番組は同局で一番視聴率が高いらしい。

ちなみに、日本メディアもデモの様子を取材していた。現時点で確認できる限りでは、NHK時事通信共同通信が報じている。

デモの印象:

日本大使館と手作りかざぐるま

日本大使館と手作りかざぐるま

今回のデモでは、ぽかぽか陽気も相まってか太陽の日差しのように、明るく暖かい気持ちになれる要素がちりばめられていた。まず、反原発デモだからといって単に原発への批判をするだけでなく、参加者が手作りの風車を掲げることで、風力エネルギーをはじめとする自然エネルギー促進、エネルギー転換への意思表示をしていた。紙でできた日本風のかざぐるまが、デモの印象を暖かくしたと同時に、日独参加者の連帯感を高めたのではないか。

私は今回、デモ活動に人生で初めて参加したが、風車がモチーフになっていて正直何となく参加しやすかった。日本人(中でも特に若い世代)はデモを積極的に行うドイツ人に比べ、まだデモという行為に抵抗感がある人も少なくないと思う。日本での反原発デモ活動をもっと活性化させるためには、幅広い人々が参加したくなる明るいコンセプト作りおよび戦略の工夫が大事かもしれない。もちろん、デモの趣旨がぼやけすぎるのは避けた方がよいが。

桜の木の周りにさされたかざぐるま

桜の木の周りにさされたかざぐるま

加えて、日本とドイツの協力関係の強化が示されたのも良かった。例えば、昨年は日本人中心の「さよなら原子力ベルリン」のデモと、ドイツ人中心の「アンティ・アトム・ベルリン」の主催するデモが別々に行われたが、今年は初めて両団体がデモを共同主催することとなった。筆者は、「さよなら原子力ベルリン」のデモ準備会に少し顔を出したのだが、日本語で行われたミーティングに「アンティ・アトム・ベルリン」のドイツ人代表者が参加し、通訳を介しながら真剣に話し合っている姿が印象的だった。この2団体だけでなく、「シャハト・コンラート反対運動(AG Schacht Konrad e.V.)」や「ベルリン自然の友(NaturFreunde Berlin e.V)」をはじめとしたドイツの反原発団体や自然保護団体などが、積極的に協力したことがデモ参加者数の拡大に大きく寄与したと考えられる。デモに参加したドイツ人らは、日本人が先導する「再稼働反対」「原発反対」「子供をまもれ」というシュプレヒコールを真似して一緒に日本語で叫んでくれていた。

自然電力供給会社ナテュア・シュトロームのマルク・シュヴィンゲル氏

スピーチするシュヴィンゲル氏

さらに、再生可能エネルギー分野での日独協力関係強化に関しても言及があった。上述したドイツ大手の自然電力供給会社「ナトュア・シュトローム」のマルク・シュヴィンゲルさんが、スピーチの中で同社が協力する福島県のメガソーラー建設計画について語ったのだ。福島第一原子力発電所から20キロ離れた川内村に建設予定のこのメガソーラーは、6メガワットの容量を有し、川内村の住民の電力需要の半分を賄える予定だそうだ。

女性と子供とデモ:

ちなみに、「かざぐるまデモ」が行われた3月8日は国際女性デーでもあった。デモの主催者である「さよなら原子力ベルリン」の中心的メンバーになっているのは、子供をもつ若い日本人女性ヘルド比呂子さんらだと伺った。母親たちをはじめとした主催者の呼びかけが共感を呼び、仲間を増やし、結果1,000人もの参加者を集める大規模なデモに発展したのは感慨深い。子供を想う母親の力はすごいと感心した。

また、ブランデンブルク門前で行われたパフォーマンスの最後に、福島の子供役と思われるパフォーマーの少年が、「もっといい未来を」と訴え、「僕が本当にほしいのは……」と言って空を仰いだ光景がとても印象に残った。私たちが子供たちに残すことのできる未来は明るいのだろうか。今より少しでも明るくしなくてはならないはずだ。

追伸:(特に女性の)皆さん。デモに参加するときには日焼け止めとスニーカーはお忘れなく。私はこの2つを忘れたことを少し後悔しています。

【フクシマのような事故はどこでも起こり得ると叫ぶドラム隊】

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【パフォーマンスの様子 ©  Frank Doellinger (B-Boy Rain)】

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【関連リンク】
Sayonara Nukes Berlin    http://sayonara-nukes-berlin.org/
Anti-Atom Berlin              www.antiatomberlin.de/
フリージャーナリスト梶村太一郎さんのHP http://tkajimura.blogspot.de/2014/03/foto-bericht-demo-in-berlin-am.html

One Response to ベルリンから未来に向けた「かざぐるまデモ」

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