イギリスのEU離脱に思う

Brexit(イギリスのEU離脱)を巡る国民投票で、離脱派が多数を占めるという「まさかの結果」に、私も大きな衝撃を受けた。大方の人たちと同じように、イギリス人のEUに対する不満がどんなに大きくても、EU 離脱によるマイナス面を考えれば、少数差で残留派が勝つものと予想していたからである。国民投票を実施することで、国内の離脱派の怒りや不満のガス抜きをし、同時にEUに対しては離脱をチラつかせることでEU内でのイギリスの地位を有利にしようとしたキャメロン首相の目論見は、完全に失敗したことになる。 続きを読む»

難民危機のなかで開かれた第66回ベルリン国際映画祭

2月11日、ハリウッドの人気スター、ジョージ・クルーニー主演の「ヘイル、シーザー」で華やかに開幕した今年のベルリン映画祭は、20日、金熊賞にイタリアのドキュメンタリー映画、難民問題を扱った「火の海」を選び、翌日の「市民のシネマデー」で11日間の幕を閉じた。今年は見ごたえのある映画がたくさんあった、良い映画祭だったと思う。今年の映画祭を振り返ってみる。 続きを読む»

ケルン事件 - ”アラブ系の若い男性”で一纏めにしていいのか

一月半ば、大学に少し用事があった私は、路面電車に乗って街へ出かけた。ふと、窓越しに外を見ると、前日に積もった雪が、太陽の光を受けてキラキラと輝いていて、とても綺麗だった。そのままぼんやりと窓の外の景色を見ていたら、難民宿泊施設の近くの停留所から10人くらいのアラブ系の若者たちが乗り込んで来た。 続きを読む»

『チェルノブイリの祈り、未来の物語』を読んで

今年のノーベル文学賞はベラルーシの女性作家でジャーナリスト、ノンフィクション作家のスベトラーナ・アレクシェービッチに授与される。彼女の作品で、目下手に入れることのできる唯一の日本語訳が『チェルノブイリの祈り、未来の物語』だと知り、早速購入して読んだ。彼女が日本ともドイツとも関わりのある作家であることを私は今回はじめて知った。 続きを読む»

二人の日本人のノーベル賞受賞

10月に日本に一時帰国し、3週間あまり滞在した間、日本は日本人二人のノーベル賞受賞発表の喜びで沸き返っていた。10月5日、大村智(さとし)北里大学特別名誉教授のノーベル医学生理学賞受賞の発表に続き、翌6日には、東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章(たかあき)教授の物理学賞受賞が発表された。その直後に帰国した私も早速その興奮の渦に巻き込まれた。  続きを読む»