悲しいお知らせ

2011年8月の「みどりの1kWh」創設時からのメンバーで、今年3月に米寿を迎えた私たちの仲間、永井潤子さんが4月4日に亡くなりました。

途中メンバーに変更があり、2018年8月からは少し形を変えて、このサイトを続けていくことにした際に、永井さんは次のように自己紹介していました。

私はもう84歳、体力も”脳力”も落ちていますが、40年以上ドイツの政治を観察してきた者として、脱原発の実現を見届けたいという気持ちが強く働きます。「時代の証言者」になるまで、元気でいたいと願っています。

最後にこのサイトに載った永井さんの記事は「ドイツの原子炉さらに3基停止、グンドレミンゲン村の様子」で、ドイツの脱原発が完了まであと一歩のところまで近づいていることが書かれています。また、そのもう一つ前の記事は「首都ベルリンに初の女性市長誕生」で、永井さんが生涯重視してきた女性の社会進出に関するものでした。

ウクライナ戦争については、「21世紀にこんなひどい戦争が起こるなんて考えてもみませんでした。ショルツ(首相)がこれまでの政策を180度変え(戦闘地域に武器を送ることに決め)たのも仕方のないことだったと思っています」というメールが3月4日に病床からありました。何も知らないでシベリアからウクライナ戦争に引っ張り出されたロシアの若い兵士たちに同情する一方、劣った武器でも、自分の国を守ろうとするウクライナの人たちの抵抗とロシア人たちの目覚め、特に兵士の母親たちの抵抗に望みをかけていると書いていました。また、「間も無く去らなければならない世界が素晴らしければ、去りにくいですが、プーチンのこんな世界からは、さっさとおさらばしたくなります」ともありました。このことがこんなに早く本当になるとは、思いもしませんでした。

残った私たちは、永井さんが居なくなり大黒柱を失ってしまったような気持ちですが、出来ることなら、ドイツの脱原発が完了するまで、このサイトを続けたいと思っています。どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。

編集室より

 

核戦争が現実味を帯びる中、ベルリンで「かざぐるまデモ」

十年一昔というが、 十年以上経っても忘れられない事や、忘れてはいけない事がある。その一つが、2011年3月11日に起きた東日本大震災と、それがもたらした福島第一原子力発電所の事故だ。事故から11年目となった今年も、ベルリンでは3月5日、原発や核兵器に反対する「かざぐるまデモ」が行われた。その直前にロシアがウクライナに侵攻し、核戦争が現実味を帯びるなど、緊張した空気の中でのデモとなった。

コロナ感染状況が良くないこともあり、参加者はあまり多くなかったが、その分演説も落ち着いて聞けて、充実した集会となった。

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来るだろうか、コロナ予防接種の義務化

世界中の人々が心待ちにしていた新型コロナウイルス感染症に対するワクチンが、驚くほどの速さで2020年11月に完成してから1年以上が経つ。ドイツでは既に昨年7月末から、希望さえすれば誰でもワクチンの接種が受けられるようになった。そして市民のワクチン接種率は夏に50%を超えた。しかしそれ以後は、伸び悩むようになってしまった。そのため、予防接種の義務化が議論されている。予防接種に反対する人が少なくないドイツで、果たして接種が義務になるだろうか。

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連邦議会で行われたナチ犠牲者のための追悼式典

ドイツの大統領と三権の長、そして来賓の2人が席について式典が始まった。

しんと静まりかえったドイツ連邦議会の本会議場にテノールの歌声が響き渡った。ピアノとクラリネットが伴奏する哀愁を帯びた旋律のその曲は、ゲットーのどこかにいるはずの恋人を、探して連れてきて欲しいと、もうすぐ訪れる春に懇願するユダヤ人の男の思いを歌ったものだ。1月27日に行われた、連邦議会主催の「ナチ犠牲者のための追悼式典」でのことだった。

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「EUタクソノミー」 原子力が、緑のエネルギー⁇

ドイツでは新年を迎えた瞬間にお祝いの乾杯をする習慣があり、 元旦は寝坊する人が多い。しかし寝ぼけ眼の人も、今年は元旦のニュースを聞いて、しっかり目が覚めたのではないだろうか。 欧州委員会が大晦日の夜遅く、原子力を地球の温暖化対策に役立つ、持続可能な緑のエネルギーとみなすという方針を発表したからだ。

©️European Union 2015

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首都ベルリンに初の女性市長誕生

ドイツの首都ベルリンは、市でありながら、ハンブルクやブレーメンと同じように州と同等の扱いを受け、ドイツ連邦共和国を構成する16州の一つである。そのベルリンで昨年12月21日、ドイツ連邦共和国の設立以来、初めての女性市長が誕生した。

ベルリン初の女性市長に選ばれたギファイ氏。市庁舎執務室のデスクにて。©️Senatskanzlei/Sven Darmer

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