Author Archives: 永井 潤子

話題を呼んだ気候変動に関するテレビ映画「Ökozid」

ドイツにはNHKのような公共テレビ放送が二つある。各地の9局で構成される放送網である公共第一テレビ(ARD)とラインラント・プファルツ州のマインツにある公共第二テレビ(ZDF)の二つだ。その一つのARDが11月18日の20時15分から、つまりニュースの後のゴールデンアワーに放映した映画「Ökozid」 の前評判が高かったので、私も1時間半のこの映画を覗いてみた。 続きを読む»

バイデン候補の勝利に対するドイツの反応

今回のアメリカの大統領選挙の結果を、ドイツほど固唾を飲んで見守った国はないのではないか。特にオバマ大統領と個人的に親密な関係を築いた後、この4年間、トランプ大統領と事ごとに対立したメルケル首相は、選挙の行方に気が気でなかったのではないか。そういう気持ちから、私は民主党のジョー・バイデン候補の勝利が明らかになった時点でのドイツの反応を振り返ってみることにした。 続きを読む»

ブランデンブルク州の「パリテート法」、憲法違反の判決

ベルリンを取り巻く、東部ドイツ・ブランデンブルク州の憲法裁判所は、10月23日、同州議会が昨年1月に成立させた「パリテート(男女候補者均等)法」を、ドイツの憲法である連邦基本法に違反するとの判決を下した。ブランデンブルク州の「パリテート法」は、州議会選挙に当たって比例代表の候補者リストを男女同数にするというもので、ドイツで「パリテート法」を成立させたのは、この州が初めてだった。 続きを読む»

ドイツの「核のゴミ」、90カ所が最終貯蔵所の候補に

2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故の直後、ドイツは段階的な脱原発を決定した。その脱原発計画は順調に進んでおり、2年後の2022年末までに、現存する6基の原発全てが稼動を停止する予定である。残る最大の問題は、使用済み核燃料から出る「高レベル放射性廃棄物」、いわゆる「核のゴミ」の最終貯蔵所をどこに設けるかという問題だ。この3年あまりドイツ全土の地質学的文献調査を行ってきた連邦政府最終貯蔵協会(BGE 、Bundesgesellschaft für Endlagerung)は、9月28日、90地域が最終貯蔵所として適していると発表した。

旧東ドイツ地域にある低中レベル放射性廃棄物の貯蔵所モアスレーベン。安全性が確保されないので、閉鎖されることが決まっている。

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統一30年、東西ドイツの現状

第二次世界大戦後、東西に分断されたドイツが41年ぶりに統一したのは、ベルリンの壁が崩壊した翌年、1990年10月3日のことだった。今年はドイツ統一30年の記念すべき年だが、毎年10月3日の「ドイツ統一の日」に各州持ち回りで行ってきた盛大なお祝いのイベント「市民の祭典」は、コロナ危機のため例年のようには行われない。今年の統一記念日の記念行事を担当するのは、現在連邦参議院の議長州であるブランデンブルク州で、公式の統一中央記念式典は、州都ポツダムで行われ、シュタインマイヤー連邦大統領やヴォイトケ・ブランデンブルク州首相のスピーチが予定されている。ドイツ連邦政府は、毎年ドイツ統一の日を前に「統一の現状」についての年次報告をまとめており、2020年の年次報告が9月16日に発表された。 続きを読む»

ベルリンの反コロナ・デモについてのドイツの新聞論調

8月29日の土曜日、ベルリンでは政府のコロナ規制措置に反対する大規模なデモが行われ、警察発表で3万8千人が参加した。このデモはシュトゥットガルトのQuerdenken 711というグループが主催したものだが、Querdenken(クヴェーアデンケン)というのは「一般の風潮に逆らった考え方をする」という意味である。こうした名前のもと、「政府の規制措置は個人の自由を制限するものだ」と考える人たちだけではなく、「コロナウイルスは存在しない。コロナ危機は、特定の人物に操作されてつくりだされた」という陰謀説を信じる人、アメリカの陰謀論「キューアノン」支持者、ワクチン接種反対派、神秘主義者、反ユダヤ主義者、反イスラム主義者、ネオナチ、極右主義者、右翼ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の政治家や支持者その他種々雑多な人たちが、このデモのために全国からベルリンに集まってきた。

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