Author Archives: 永井 潤子

原子力のとりこになっているフランスのエネルギー転換法

フランス国民議会(下院)は7月22日、何ヶ月にもわたる議論の末、エネルギー転換に関する包括的な法案を成立させた。この法案は具体的な数値目標を掲げて将来エネルギーの消費そのものを減らし、再生可能エネルギーを増やして原発依存度を減らし、気候温暖化ガスの排出量を大幅に減らすことなどを決めている。また、こうした目標を実現するため、建物のエネルギー効率の向上など、一連の具体的な措置も決めているが、原発に関しては、エネルギー政策の劇的な転換を示すものではない。 続きを読む»

脱原発へさらに前進、ドイツ南部のグラーフェンラインフェルド原発が操業停止

ドイツで稼働中だった9基の原発のうち最も古いグラーフェンラインフェルド原発が、6月27日、土曜日の23時 59分 をもって計画通り稼働を停止した。1981年12月9日の稼働開始以来、33年以上にわたって町のシンボルとなってきた原子炉の2本の冷却塔から出る蒸気も、翌日曜日朝には完全に消えたことが確認された。長年反原発運動を続けてきた地元の市民たちは、土曜日夜から日曜日にかけて原発の敷地前で「稼働停止ピクニック」を開き、停止の瞬間をカウントダウンしながら「脱原発」の進展を祝った。 続きを読む»

エルマウ城でのG7サミット、ドイツメディアはどう伝えたか

6月7日と8日、ドイツ南部・バイエルン州のエルマウ城で開かれた先進主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、地球温暖化対策の新たな長期目標を盛り込んだ首脳宣言を採択し、西側先進7カ国が地球温暖化防止に取り組む強い決意を表明した。当初今回のG7サミットの成果に期待せず、3億6000万ユーロ(約500億円)の高い費用をかけてこうした首脳会議を開くことに批判的だったドイツのメディアも、この結果については好意的に評価した。特に工業化が始まった時に比べ気温上昇を2度以内に抑えるために思い切った対策の必要性が強調され、今世紀中に世界経済が「脱炭素化」を目指すことが最終コミュニュケに盛り込まれたことを、センセーショナルな成果と受け取る向きもある。 続きを読む»

ドイツの募金で福島の子どもたちが沖縄で保養

P1180539先日、ベルリンの郊外、クラインマハノウの小学校を一人の日本人女性が訪れ、300人の子どもたちや父兄を前に福島の子どもたちの様子について話をした。この女性はルール地方、ドルトムントの独日協会の会長を務めるシュルターマン 容子さん。彼女とこのプロテスタント教会系の小学校の生徒たちは、数年前から同じ目的で強く結ばれている。 続きを読む»

70年目の敗戦記念日を迎えたドイツ

ドイツが無条件降伏したのは、1945年5月8日のことだった。戦後70年の節目にあたる今年、ドイツ各地では、さまざまな記念行事、講演や歴史の展示、文化的な催しなどが行われてきたが、首都ベルリンでは、5月8日午前9時から、ドイツ連邦議会の本会議場で連邦議会と連邦参議院合同の敗戦70周年記念式典が行われた。 続きを読む»

イギリスの原発新設計画に対する抗議行動

世界中で原発の新設は経済的に採算が合わなくなっているにもかかわらず、今なお国の莫大な助成金を得て、原発新設を計画する国が少なくない。ヨーロッパではイギリス南西部サマーセット海岸にあるヒンクリー・ポイント原発に新たに原子炉2基を増設する計画(ヒンクリー・ポイントC計画)に対してイギリス政府が前例のないほどの財政優遇措置を発表、EU委員会が昨年10月、当初の態度を変更して、この計画を許可した。これに対し、ドイツ、オーストリアなどの環境保護団体や市民運動家たちの間で激しい抗議行動が起こっている。 続きを読む»