Author Archives: 永井 潤子

「信号連立政権」樹立に向けて、本格的な交渉開始

ドイツの社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)は、10月15日の金曜日、10月7日以降続けてきた連立政権をめぐる予備交渉を成功裡に終え、本格的な連立交渉に入る意志を明らかにした。3党による予備交渉の結果は、12ページからなる文書にまとめられ、公表された。これにより、SPD(赤)、緑、FDP(黄色)の「信号連立」政権樹立の可能性が一層高まったと見られる。 続きを読む»

選挙は終わったが、当分決まりそうにない連邦首相

ドイツの民主主義の今後のあり方を決定する選挙として、世界的な注目を集めた連邦議会選挙は、9月26日に終わった。しかし、キリスト教民主同盟(CDU)のメルケル首相の後継首相が決まるまでには、まだかなりの時間がかかりそうだ。選挙で第1党になった社会民主党(SPD)のオラーフ・ショルツ現財務相が、票を伸ばした小党の緑の党と自由民主党(FDP)と連立を組むことを提唱しているが、歴史的な敗北を喫して第2党となったCDUとその姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)の連邦首相候補であるアルミン・ラシェット氏も同様の要求をするという状況が生まれたからだ。

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映画「不屈の女たち」― 民主化に貢献した旧西ドイツの女性政治家たち

ドイツではきょう、連邦議会選挙が行われているが、この選挙を前にして、あるドキュメンタリー映画が話題になっている。映画のタイトルは「Die Unbeugsamen(不屈の女たち)」だ。この映画は第二次世界大戦後、ライン河畔の小さな町ボンを首都に誕生したドイツ連邦共和国(旧西ドイツ)、すなわち1949年から1990年10月の東西ドイツ統一まで存在した「ボン共和国」での数少ない女性政治家たちの活動に光を当てた映画なのだ。

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ドイツから見た東京オリンピック

ドイツには、古臭くなった事柄を表すのにSchnee von gestern(きのうの雪)という言い方がある。8月8日に閉会式を終えた夏季東京オリンピックについて、今頃 原稿を書くのは「きのうの雪」の感じがしないでもないが、閉会式前後にとっておいたドイツの新聞の記事の内容を少しまとめてみようという気になった。 続きを読む»

選挙戦に一石を投じた緑の党の気候保護・緊急プログラム

緑の党の共同代表、アナレーナ・ベアボック氏とロバート・ハーベック氏は、8月3日、ベルリンの北にあるビーゼンタール自然公園に記者団を招いて、同党の気候保護・緊急プログラムを発表した。9月に行われる連邦議会選挙の後、次期政権に参加する緑の党の意志を改めてアピールし、政権与党となった場合の気候変動対策を中心とする政策の具体案を示したものだ。

良好な関係を維持するベアボック連邦首相候補とハーベック共同代表©️gruene.de

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無観客東京オリンピックに対するドイツの反応

「馬になった方がいいと思える瞬間があるものである。例えば、オリンピックに参加する選手たちが、東京の羽田空港に到着して、コロナのPCRテストその他入国に必要な様々な手続きを終えて宿泊地行きのバスに乗れるまでに何時間も要した時など、そう思えるのではないだろうか」、こういう書き出しの記事を、7月15日の「南ドイツ新聞」のスポーツ欄に見つけた。 続きを読む»