VW、工場の発電を石炭から天然ガスへ切り替え

ツェルディック 野尻紘子 / 2018年4月1日

トヨタと世界1、2の地位を争うドイツ最大の自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)は、同社工場の自家発電を石炭火力から天然ガス火力に切り替える。そのための投資額は4億ユーロ(約520億円)。その結果、年間約150万トンという膨大な量の二酸化炭素の排出が避けられるという。建設工事は今年中に開始し、2021〜2022年に完成する予定だと発表している。

「石炭からガスへの切り替えは、当社としてするべき、またしたいと望む環境保護 – 気候変動を抑制し、空気の質を改良するための貢献です。我々は、生産過程においてもそれを遂行したいと考えています」とマティアス・ミュラー社長は語る。年間150万トンという二酸化炭素の排出量は、現在走行中の約87万台の乗用車が1年間に排出する量の二酸化炭素に等しく、現在の石炭火力発電が排出している二酸化炭素の60%に相当するという。

VWは、同社の生産課程で生じる様々な環境への負担を、2025年までに2010年比で25%減らすとも発表している。この石炭からガス火力発電への切り替えは、その最も重要な対策の一部で、4億ユーロという投資額は、VWが今までに行った環境保護対策の中で最も多額なものだという。引き続き他の対策も検討している。

同社の本社工場の所在地であるヴォルフスブルクで2箇所のガス火力発電所が完成すると、将来は電力がエムデン、ハノーヴァー、カッセル、ブラウンシュヴァイク、ザルツギッターにある同社の工場に送電される。また、発電所はヴォルフスブルク工場の暖房とヴォルフスブルク市の地域暖房も賄うことになる。

VWは2015年に、ディーゼル車の酸化窒素排出量を不正ソフトを使ってごまかすというスキャンダルを起こし、一時イメージを落としていたにも関わらず、昨年は過去最高の売上高と利益をあげており、イメージを上げることにも懸命だ。

 

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