廃炉決まったが直ぐには止まらないフランス最古の原発

ツェルディック 野尻紘子 / 2017年4月16日

フランス政府は、ドイツやスイスの国境からも遠くないフェッセンハイムにある同国最古の原発の廃炉を決めた。4月9日付けの官報で通達した。老朽化が進み、問題視されている原発だが、停止するのは早くて2018年末。2019年にずれ込むだろうという見方が有力だ。理由は、この原発を操業しているフランス電力会社(EDF)が 、現在同社がドーヴァー海峡沿いのフラマンヴィルに建設中の新しい原子力発電所の完成を条件に、フェッセンハイム原発の廃炉に同意したことによる。

1977年に稼働を開始したフェッセンハイム原発は既に40年間発電を続けている。大小の故障も珍しくなく、ドイツの緑の党関係者は、同原発を「ボロ原発」とも呼んでいる。フランスやドイツ、そしてスイスの環境保護団体は、同原発を古くて危険だとして、長い間、停止を要求してきた。オランド仏大統領も2012年の選挙で、同原発を2016年末までには停止すると公約していのたが、任期の切れる直前になってやっと停止命令にたどり着いた。

ロワイヤル仏エネルギー環境相は、この停止命令 を、フランスの原子力発電への依存度を縮小する「エネルギー転換への貢献」と称したが、実際には、古い原発が新しい原発に取って代わられるだけのように見受けられる。また、関係者によると、次期大統領がこの廃炉の決定を覆すことは不可能でないという。さらに、この命令には期限が設けられていない。

EDFの取締役会はこのほど、フェッセンハイム原発の停止を申請するのは、「フラマンヴィル原発が完成し、操業を開始する6ヶ月前になってからとする」と決めた。しかし2012年に操業を開始する予定だった建設中のフラマンヴィル原発は、 関係者の間で現在、完成するのは2019年の第二四半期だろうとも言われている。

ドイツ政府はEDF取締役会の決定を批判、独環境省は落胆を隠さず、フランス政府に対し、フェッセンハイム原発の停止を速やかに進めるよう要請した。

 

 

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