ベルリン市議会選挙 - 社会的弱者とエネルギー政策

あきこ / 2016年9月4日

9月18日、ベルリン市議会(州議会と同格)選挙が行われる。選挙を前に、どの党に投票すべきか決めかねている人への助言プログラムとでも言うべき「ボートマッチ」も始まった。18歳から26歳までの20人の若者が、学者や専門家や連邦政治教育センター、ベルリン市政治教育センターの指導を受けて、多くの政治的テーマから最終的に38の質問を設定し、それらの質問について答えれば自分の考えと近い政党がわかるというものだ。やってみるとなかなか面白い。

この38の質問を見ると、そこからベルリン市が現在直面している問題が浮かび上がってくる。例えば、「個人の住居を民泊用に利用することが許されるか」「深夜営業を許可されている売店は日曜日にも開店してよいか」「テーゲル空港はベルリン新国際空港が開港後も残すべきか」「ベルリンは難民の受入れを続けるべきか」「永住権を持つ外国人にベルリン市議会、区議会の選挙で投票権を認めるべきか」など、ベルリンでの市民生活に密着した38の問いが出される。これらの質問に「賛成」「反対」「どちらでもない」の3つの回答が用意されている。最後に、自分が支持したい政党をクリックすると、政党の政策と自分の支持政党との一致度がパーセンテージで示される。また、自分が支持した政党のそれぞれの質問に対する詳しい意見も示される。

ボートマッチ、ドイツ語ではWahl-O-Matというのは、初めて選挙権を得た人に対する投票のための一つのヒントを与えるためのネット上のプログラムである。実際にこのプログラムをやってみた。私の回答と、(もし私にも選挙権があるなら)投票したいと思う政党の一致度はかなり高かった。しかし、38の項目の中に、私自身が知りたいと思う各政党のエネルギー政策についての質問は含まれていなかった。

8月18日付のベルリンの新聞「ノイエス・ドイチュラント(Neues Deutschland)」が「選挙の試金石」という記事で、ベルリンの市民運動グループ「ベルリーナー・エネルギーティッシュ(Berliner Energietisch)」が今回の市議会選挙で各政党にエネルギー政策を質問したところ、現在の連立政権与党であるキリスト教民主同盟(CDU)以外のすべての政党から回答が寄せられたと書いていた。そこで、どのような質問がなされ、どのような回答があったのかをベルリーナー・エネルギーティッシュのサイトで調べてみた。このグループはベルリンのエネルギー供給網(電力、ガス、地域熱)を、私企業による運営ではなく再び公営化することを目的に、2011年夏に生まれた組織である。

ベルリーナー・エネルギーティッシュが、市議会で議席を持っている各政党に対して出した質問は12項目にわたっている。エネルギー供給網の公営化とそれに関連する項目が中心になっているが、いくつかの項目が特に私の目に新鮮に映った。それは以下の質問である。

ベルリンに存在している「エネルギーの貧困(電力やガス料金を払えない人々がいる状況)」にどのように対処し、今後このような状況を阻止するためにどのような対策を講じるのか。

熱効率を効果的にする建物の改修を社会福祉的観点から問題のないように行うために、どうするのか。収入の少ない家庭が省エネルギーの電化製品を購入するために、どのような支援をなすべきか。

エネルギー供給網を完全に公営化し、再生可能エネルギーによる供給を100パーセントにし、エネルギー貧困を克服する財源を確保するために、どのような対策を講じるのか。

これらの問いに共通することは、エネルギー政策において社会的弱者を視野に入れていることである。9月18日の選挙で、ベルリン市民はどのような結果を出すのだろうか。エネルギー政策が必ずしも選挙の大きな争点となっているわけではないが、どのような政権が誕生し、新しい政府のもとでどのようなエネルギー政策が行われるのか、注目したい。

関連リンク:
ベルリン州議会選挙のためのボートマッチ
ベルリーナー・エネルギーティッシュ

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