自動車用バッテリーの「第二の人生」

こちゃん / 2015年11月22日

エネルギー転換の一つの大きな課題は、電力の安定供給のための蓄電技術がまだ十分に開発されていないことにある。電気自動車用のバッテリーをリサイクルして、大型蓄電装置を建設することが、今話題になっている。

風力や太陽光に頼る発電では、風が強く吹き太陽が燦々と照る時間帯には、多量の発電が可能になるが、 風も吹かず日も照らない時にはその逆で、発電量が減る。送電網に送り込まれる電力の量の揺れは、送電網を不安定にするため、避けなくてはならない。多すぎの電力を送電網から一時的に取り込み蓄え、発電量の少ない時に送電網に送り返して送電網の安定に役立つ大型蓄電装置を、ドイツの自動車大手ダイムラーが建設する。

ダイムラーが建てる大型蓄電装置は、電気自動車用としては効率が悪くなり使えなくなったバッテリーを繋ぎ合わせて大きくしたものだ。真冬の零下の時でも真夏の炎天下でも、自動車用のバッテリーには急速に加速するなどの高度の性能が要求されるが、ただの蓄電にはそれほど高い性能は必要ない。自動車用バッテリーの「第二の人生」の期間は、少なくとも10年はあるという。

同社がこの度ドルトムント近郊のリューネン市のリサイクリング会社と共同で建設する蓄電装置は、 ダイムラーの小型車「スマート」で3年間使用された650個のリチウム・イオン電池で作られる。容量は13MWで、人口8万5000人の同市の電力需要の1時間分に相当する。このような蓄電装置としては世界一の規模だそうだ。

建設開始にあたりタイムラーのツェッチェ社長は、同社が電気自動車から手を引くのではなく、これからも優れた電気自動車を作っていくと強調し、電気自動車のバッテリーの寿命が伸びれば、電気自動車の価格にも良い影響を与えると語った。

電気自動車のバッテリー再利用は同社だけのアイディアではないようだ。BMWも自動車部品大手のボッシュ、電力大手のヴァッテンファルと共同でハンブルクに2MWの蓄電装置を計画していると言われる。また、ダイムラーの子会社で同社の電気自動車のバッテリーを製造しているダイムラー・アキュモティーヴ社は、家庭や企業用にも来年から蓄電装置を提供するという。

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