ドイツでも猛暑、原発に影響

ツェルディック 野尻紘子 / 2015年8月23日

ドイツでも猛暑が続いている。7月5日と8月7日には南ドイツのバイエルン州、フランケン地方のキッツィンゲンという小さな町で、1881年にドイツで気象観測が始まって以来最高の摂氏40.3度が2度も記録された。北ドイツのニーダーザクセン州でも暑い日が続き、7月初めにはシュテファン・ヴェンツェル同州環境相が、猛暑のために同州にあるグローンデ原発を 停止させる寸前だったと週刊誌の「シュテルン」 は伝えている。

ドイツでのそれまでの最高気温は、1983年7月にバイエルン州のゲルマースドルフという小さな町と2003年8月にバーデン・ヴルテンブルク州のカールスルーエ市とフライブルグ市で測定された40.2度で、40度を超えたことはこれ以外にない。しかし気温が30度を超す日は徐々に増えてきており、ここ数年来珍しくなくなっている。ちなみに、8月7日のベルリンの最高気温は38.9度だった。

暑くなる日には、朝から生暖かい空気が漂っていることが多い。ドイツの気象局によると、そういう日にはサハラ砂漠から暖かい風が吹いてきているのだという。ずっと昔にもそういうことはあったようなのだが、30度を超える気温はほとんど無かったように記憶しているので、この頃はやはり地球温暖化の影響が相乗して、こう暑くなるのではないかと思う。ただ、ドイツでは夜間に気温が20度前後に下がるのがまだ普通なので、日本の暑さよりは凌ぎやすい。空気中の湿度も概して低い。真夏でも、最高気温が20度以下などという日も何日かある。

1985年に操業を開始したグローンデ原発は、北ドイツを流れるヴェーザー川の川岸に建っており、この川の水で冷却されている。ところが7月初めには気温の上昇に伴って川の水温も上昇し、あと1.8度で冷却水の最高許容温度である28度に達するところまでいってしまった。今年は春から雨量が少なく、川の水が減っていたことも理由のようだ。「相当危ないところまでいっていました」と緑の党に属する環境相は語る。同氏は、気候変動のために、これからも暑くて乾燥した夏が増えるのではないかと憂慮し、原発操業企業であるEnBW社 や E.ON社も心配しているという。

グローンデ原発は、現在ドイツでまだ稼働中の8基の原発の一つで、83.8%をE.ON社が、16.7%を近郊のビーレフェルド市の電力会社が所有している。2011年のドイツ政府の脱原発決定に従って2021年末に停止される予定だ。容量は1.367GWで、年間平均発電量は110億kWh。これは3人家族300万世帯が1年間に消費する電力の量に相当する。

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