エルマウ (G7) の反響 2) 「世界規模のエネルギー転換は始まっている」

こちゃん / 2015年7月5日

「世界規模のエネルギー転換は始まっている」、「世界のエネルギー政策は、もう帰還不能点の近くまで来ている」。これが6月はじめにドイツで行われた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の「地球温暖化を抑制するために、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を2050年までに2010年比で40〜70%削減し、2100年までには脱化石燃料を目指す」という宣言に対する、ドイツの専門家たちやメディアの反応だ。

ドイツの環境保護団体ジャーマンウォッチ(Germanwatch)の調査報告書(http://germanwatch.org/de/10370) によると、世界規模のエネルギー転換の兆しは明らかに現れている。世界の二酸化炭素排出量は、2012年から増加のテンポを弱めており、2014年には、世界経済が成長したにも関わらず、ついに減少した。理由は、価格の低下した再生可能発電装置が爆発的に増えたことと、それとは裏腹に、石炭を燃やす火力発電離れが進んだことだ。

「 2013年に世界中で、化石燃料を燃やす火力発電装置と原子力発電装置より、再生可能発電装置の方がより多く 建設されるはと、5年前に誰もが想像しなかった」と語るのは報告書をまとめたヤン・ブルック氏だ。「既に国内電力生産の10%以上を太陽光や風力発電に頼っている国は、世界中に18カ国も存在する。中国でも昨年初めて、石炭火力発電所より再生可能発電装置を多く建設した。インドは過去10年間に風力発電能力を10倍に増やした」と同氏は続ける。

再生可能発電装置の伸びとは逆に、2010年以来世界中で建設が予定されていた石炭火力発電装置のうち、実際に建設されたのは3分の1しかない。中国ではこの間、石炭火力発電装置の新設のためには、効率の悪い古い装置を停止しなければならなくなっており、インドでは計画されている7基の発電所のうち1基しか建設されない見通しだ。 そして中国では2014年に初めて、石炭の消費量も低下したという。米国では石炭火力発電所での発電量が2003年以来22%も低下したそうだ。

ドイツの全国紙「フランクフルター・アルゲマイネ」が掲載した英国のエネルギー大手BPの示す数値は、ジャーマンウォッチの数値と正確には少し異なる。しかし、世界の二酸化炭素排出量が今までのような急テンポで増加しないことは間違いない。BPがG7サミット後に発表した統計によると、過去10年間に年間平均2%ずつ増加していた世界の二酸化炭素排出量は、2014年に僅か0.5%しか増えなかった。同社の半世紀にわたる統計では、世界の二酸化炭素排出量は、ごく僅かな例外を除いて、継続的に増えてきており、1965年以来約3倍に膨れ上がっている。中国の排出量は同期間中に20倍に達しているという。しかしBPの統計でも、2014年の中国の石炭消費量は増えていない。発電のための石油の消費が0.8 %しか増えなかったのに対し、風力と太陽光、原子力発電は3.7%増加したという。

「今回のサミットの宣言は、今までのサミットの取り決めとは違う意味を持つ」とベルリンの日刊紙「ターゲスシュピーゲル」に書いているのは、数々の経済専門書を執筆し、調査ジャーナリズムで知られるハラルド・シューマン氏だ。理由は、サミット外の世界で、ゆっくりながら、しかし着実に脱石炭が進んでいるからで、世界のエネルギー政策は、もう少しで、帰還不能点に到達するという。

最大の理由は中国の石炭政策にあるという。空気汚染のために、中国は古い石炭火力発電所を閉鎖しなくてはならなくなった。前年比7%増の国内総生産にも関わらず、中国の石炭消費は2014年に3%減った。中国は同時に、増加するエネルギーの需要を全て再生可能エネルギーで賄った。今年の第1四半期には石炭の輸入が同38%も減っている。これで、中国の二酸化炭素排出量は伸びが緩やかになり、ピークも近づいてきたことが分かる。

シューマン氏は、もう一つの理由は「経済情報サービスのブルームバーグが報道しているように、世界の多くの地域で、太陽光や風力発電が従来の火力発電の価格と同じかそれ以下に下がっていることだ」とする。だからブルームバーグも、既に2013年以来、従来型の発電装置の建設容量より再生可能発電装置の容量の方が増えていると伝えている。

そのことは、石炭やガス発電装置の採算性が悪くなり、従って石炭、石油、天然ガスを採掘する意味も薄れて来たことを指す。環境保護団体などは更に、現在分かっている石炭、石油、天然ガスの埋蔵量の3分の2を採掘してはならないと主張している。だから化石燃料への投資が投資家の間で不安を呼んでおり、ノルウェーの国家基金やフランスの保険会社アクサ、米国の様々な基金のように、化石燃料への投資から資産を引き上げる機関が増えつつある。この事実が、金融業界にどのような影響を及ぼすかを、現在、欧州中央銀行(ECB)やバンク・オブ・イングランドが調査させているのは、偶然ではない。

「気候専門家の間で『ティッピング・エレメント』という言い回しがテーマになっている。アマゾンの湿地帯が乾燥したり永久凍土が溶けてしまったりすることを指す。もしそういう状態に達してしまうと、地球の気候はもう元に戻らない。世界の環境政策もそういう、もう元に戻れない点に近づいている。もうあと一歩 – 例えは欧州、中国、インド、米国で二酸化炭素税が導入されたら – 世界規模の大きなエネルギー転換は独り歩きを始めるに違いない」とシューマン氏は書いている。

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