捨てた家電製品はいったいどこへ?くずを追え その4

やま / 2014年11月23日

alles Lügeジャーナリストグループ「Follow the Money」のルポ「家電くずを追え」は視聴率がもっとも高いと言われている政治番組「パノラマ」で放映されました。このドイツ公共第1テレビの番組は定期的に木曜日に放送され、視聴者数が毎回平均348万人に上るそうです。家電機器廃棄物がきちんと処理されていると思っていた市民にとって、この情報は意外でした。そして、ノイミュンスター市の廃棄物回収所の責任者は次のように答えました。

「これからはウェブサイトなどを通して市営廃棄物処理所の働きについて、もっと詳しく市民に報告しなければいけないと思います。市の回収所に運ばれた家電機器は正しい方法で処理されています」。この正しい方法とは?ウェブサイトには掲載されていませんが、機器によりアフリカへ送られる場合もあると責任者はインタビューに答えていました。

危険な家電廃棄物がアフリカへ出荷されないように水上警察、税関、そしてハンブルグ州環境省などによる検査は行われています。ジャーナリストグループが運んだような、コードが切られたテレビは、「不審物」とされ、まずは出航できないとハンブルグ都市開発・環境省の関係者は述べていました。

市営の廃棄物回収所からテレビの処理を受け持ったベーレント社はこの番組の制作者に対して名誉毀損を訴えたそうです。ベーレント社は切られたコードを修理した後、まだ使える中古テレビとしてアフリカへ輸出したと、このルポでも報告されています。はっきりしないのは、いったい、いつこのテレビが修理されたのかです。「ベーレント社が急いで飛行機を使い、一旦アフリカへ送られたテレビをドイツへ持ち帰った後だったのかもしれない」と記者は伝えています。

ベーレント・エレクトリック・リサイクル有限会社の家電廃棄物の輸出に対しての言い訳は:環境保護の面からみても点検済みの機能するテレビをアフリカへ輸出することは意味がある。なぜならば、家電製品の寿命が長くなり、ドイツで家電廃棄物の量が減るからだ。

「現実は、アフリカへ送られる中古家電製品の80%はくず。残りの20%は短期間はまだ使えるかもしれませんが、最終的にはアグボグブロシーに捨てられ環境を汚染しています。ここには近代的な処理施設とリサイクル構造がありません」と国連の環境保護プロジェクトの入選者であるマイク・アナネは指摘しています。

ドイツのゴミ事情を調べてみると、量が最も増加しているのは家電廃棄物だそうです。その量は年間約180万トン。リサイクルできる部分もありますが、重金属、難燃剤などの有毒物資が多く内臓されています。特に問題になるのはPCや薄型テレビの画面に使われているガラスや冷凍・冷蔵庫に使用されているフロンガスだそうです。

取材により家電廃棄物の処理について多くの討論が行われることを歓迎すると「Follow the Money」はウェブサイトに記していました。環境問題に関心があり、改善を望む読者がいるからこそ、このような取材が成り立ちます。ちなみにこのルポはシュピーゲル財団の2014年度助成プログラム「問題は何か(Sagen, was ist)」に選ばれました。今年はドイツ最大の報道週間誌「デア・シュピーゲル」の創立者であったルードルフ・アウグスタインの生誕90年記念に当り、選ばれたのは14件のプロジェクトでした。
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写真:Seven Resist、https://www.flickr.com/photos/seven_resist/12506398363/in/photolist-k49yvZ-4ZauKH-9pnwBx-cConaY/

 

 

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