ビールの祭典 オクトーバーフェストでの環境保護

えみぃ / 2014年10月5日

現在、ドイツ南部のミュンヘンで開かれている世界最大のビールの祭典「オクトーバーフェスト」。181回目を迎えた今年は、9月20日~10月5日までの会期中に、国内外から約600万人以上の来場者数が見込まれています。そんなオクトーバーフェストですが、1997年にはドイツ連邦政府から、環境に配慮した大規模なイベントに贈る賞を授与されています。今回は、オクトーバーフェストを「環境保護」という観点から見てみましょう。

まず、オクトーバーフェストでは世界各国から大勢の人々が集まる分、相当な電力を消費します。昨年は合計16日間の会期中に約640万人が来場し、総電力消費量は3GWhを超えました。これは、約1,200世帯分の年間電力消費量、もしくはミュンヘン市内の一日あたりの電力消費量の約13%に相当します。

このような状況を受け、2000年以来オクトーバーフェストの会場内のすべての公共部分、道路、公共トイレは「エコ電力」で賄われています。この「エコ電力」は、ミュンヘンのシュタットベルク(地域のエネルギー供給公社)が提供する水力発電によるもので、通常の電気料金に1kWhあたり1.53ユーロセントが上乗せされています。そして、その分が再生可能エネルギー施設の新規建設のためのプロジェクト費用に充てられる仕組みになっています。会場の公共部分だけに限らず、「エコ電力」を選ぶビアホールやその他商業施設も年々増えており、そのうち60%以上がこの「エコ電力」を使用しています。

さらに、ビアホール独自に自然エネルギーを導入しているところもあります。例えば、10,000の客席数を誇る大規模なビアホールであるショッテンハーメル(Schottenhamel)は、2005年に屋根に太陽熱温水器を設置し、食器洗浄用の水を温めるのに使っています。また、昨年には東芝と協力して、テント内の古い電球をLED電球に取り換えています。新しいLED電球の電力消費量は、古い電球の場合と比較するとわずか20%なので、電球の取り替えによってオクトーバーフェスト会期中に約28MWhの電力消費量の削減が期待できるそうです。

このような電力に関する取り組み以外にも、環境配慮がなされています。例えば、ごみの量を減らすために、1991年以来使い捨ての食器や飲料用の缶の使用が禁止されています。そのため、オクトーバーフェストの会場で、紙コップやプラスチックの使い捨て食器でゴミ箱が溢れかえるということはないでしょう。他にも、5つのビアホールが、ビールジョッキの洗浄に使った水をトイレの水として再利用しています。これによって、会場内で毎年7,000㎥の水が節約できます。また、会場内で販売されている肉もオーガニック基準を満たしたものが増えてきているそうです。今後、オクトーバーフェストにいらっしゃる方は、ビールを楽しみながら、このような環境保護の取り組みに少し目を向けてみてはいかがでしょうか。

参考リンク:

  • オクトーバーフェストの環境対策についてまとめてあるサイト(ドイツ語)

http://www.oekowiesn.de/

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