ウクライナ東部・クリミア情勢がもたらすドイツへの影響

まる / 2014年4月27日

「ウクライナの東部でまた暴動。死者はXX人」といった不穏なニュースが届く毎日が続いています。ウクライナは、ロシアからドイツへ輸出される天然ガスが経由する国。ロシアのプーチン大統領がガスの元栓を止めてしまったらどうなるのか……ドイツではこれまでのエネルギー政策の見直しが求められています。

ドイツはガス需要の3分の1以上(35%)をロシアからの輸入に頼っています。石油も36%です。2012年まで、ロシアから欧州各国に輸出される天然ガスの80%はウクライナを通るパイプラインを使って送られていました。2012年にバルト海を通るノードストリーム・パイプライン、ベラルーシとポーランドを通るジャマル・パイプラインが操業を始めたため、現在ではウクライナを通るロシアの天然ガスは50%だそうです。

「今すぐドイツのエネルギー供給が危険にさらされることはない」(CDU/CSU議員団のエネルギー担当、トーマス・バライス氏)、「冷戦の困難な時でさえ、ロシアはきちんとガスを届けてくれた」(バイエルン州環境相イルゼ・アイグナー氏)と、多くの政治家はパニックに陥る必要がないことを強調しますが、それでも依存率は50%です!

ロシアは国家予算の約50%を石油と天然ガスの輸出に頼っているので、そう簡単にガスの元栓を締めることはできない事情もありますが……

今回のウクライナ危機でプーチン大統領とEUの仲介役となっているアンゲラ・メルケル首相は「エネルギー政策全体を新たに見直す必要がある」と言い、バーバラ・ヘンドリックス連邦環境大臣は「エネルギー政策の新しい方針は、化石燃料への依存から離れる方向へ向かわなくてはならない。エネルギー転換が進んでも、短期的、長期的に私たちがガス輸入に依存することに変わりはない」と天然ガスの輸入元や輸送方法についても、将来に向けて新しい戦略を考えるつもりのようです。

例えば、天然ガスの輸送方法として、ガスを液体化して船で運ぶという構想は随分前からあり、北海に面したヴィルヘルムスハーフェンという港町にその船を受け入れるターミナルを作るつもりでしたが、実現していません。そしてEUは2013年に、カスピ海地域の天然ガスをトルコからオーストリアへ運ぶはずだったナブッコ・パイプライン計画も諦めています。しかし、現在ストップされているこのような計画も、新しい構想を考える上で、再浮上してきそうです。

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