ドイツ鉄道も脱原発

まる / 2013年5月5日
バーンカード 100%エコ電力

バーンカード 100%エコ電力

最近、電車の席を予約しようとドイチェ•バーン(ドイツ鉄道)の窓口へ行きました。そしてすぐに目に入ったのは、切符を売る女性が、いつもの赤ではなく、爽やかな黄緑色のネクタイをしていることでした。「それ、変わったんですね」と言う私に、「キャンペーン中だけよ」とその女性が指を差したのはみどり色の「お試しバーンカード25」の広告でした。

バーンカードというのは、年に1度一定の価格を払うと、ドイツ鉄道の切符を買う際に割引が効くようになるカードのことで、バーンカード25(25%割引)、バーンカード50(50%割引)、バーンカード100(乗りたい放題)というのがあります。このお試し版は6月30日まで購入可能でお値段は29ユーロ。そのうちの4ユーロは再生可能エネルギー発電の拡充にまわされ、電車料金は25%の割引になります。どうしてみどり色なのかというと、バーンカードを所有する乗客の分の電力は、2013年4月1日から再生可能エネルギーで賄われるようになったからです。

毎日2万本の電車を走らせ、5400駅を有するドイチェ•バーンは、ドイツで最も“電気を食う”会社の一つだそうですが、電車を走らせるために使われる電力のうち、再生可能エネルギーの占める割合は24%(2012年末の統計)だそうです。2020年までにその割合を35%に引き上げ、2050年には100%にするのを目標にしています。そのために、再生可能エネルギーの供給源を少しずつ増やしており、最近も新たに北部ドイツの小都市エムデンの近くの二つの風力電力パークと契約を交わしました。これで5つの風力発電パークが年間約140GWhの電力を供給することになりました。

でも、ドイチェ•バーンの主な再生可能エネルギー源は水力発電で、これには100年以上の伝統があるそうです。ドイチェ•バーンの子会社DBエネルギーが所有するドイツ各地にある水力発電所で、電力が、電車を走らせるために必要とされる周波数16.7Hzで最初から配電網に乗せられます。ドイチェ•バーンはドイツ連邦政府がエネルギー転換を決めて以来、ドイツ4大電力会社に数えられるRWE (2014年から年間900GWh)とE.ON(2015年から年間600GWh)、そしてオーストリアの電力会社VERBUND(年間300GWh)とも水力発電による電力供給を受ける契約をしています。

ただのグリーンウォッシング、イメージ戦略だという声も上がりそうですが、現実的に見て、ドイツのエネルギー転換が成功して2022年に原子力発電がなくなれば、最低でもその分は違う発電源で補わなくてはならなくなるわけです。現在ドイチェ•バーンは20.2%を原子力発電に頼っています。先手を打っておくのは当然ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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