迫る枯渇、シェールオイル・シェールガスは単なる一時凌ぎ

こちゃん / 2013年4月2日

石油や天然ガス、石炭、ウランの枯渇は、現在世間で話されている以上に早くやって来る。米国などで増加しているシェールオイルやシェールガスの生産量は、既にここ数年内でピークに到達し、以後は下降するのみである。こんなレポートをドイツのエナジー・ウォッチ・グループ(EWG)がこのほどベルリンで発表した。EWGは学者と議員からなる国際的なネットワークで、政界や経済界からの影響は一切受けておらず、エネルギー問題に関する分析やレポート作成を科学者に委託していることだ。

レポートの題名は「化石燃料と核燃料の将来の供給状況(Fossile und Nukleare Brennstoffe – die künftige Versorgungssituation)」。EWGは既に2008年にも将来的に調達可能な資源についてのレポートを発表しており、今回はその結果を基に、特に過去5年間の資源開発に関する展開を批判的に調査するよう依頼した。石油、天然ガス、石炭の他にウラン調達の状況も調査内容に含まれた。

「このグループの予測が他の機関の発表している予測と異なるのは、他の予測が数多い希望的観測や推測に基づいているのに対し、我々は実際に確認された資源の鉱脈のみを基礎としているからだ」とレポートの発表記者会見で確信ありげに語るのはレポート作成のリーダーを務めたヴェルナー・ツィッテル(Werner Zittel)博士。物理学を学んだ後、長年著名なドイツ航空宇宙飛行センター(DLR 、Deutsches Zentrum für Luft- und Raumfahrt ) やミュンヘン在のフラウンホーファー研究所、ルードウィッヒ・ベルコー・システム技術社でエネルギー調達に関わる基本的問題やそれが環境に与える影響などの研究に取り組んで来た経歴を持つ。

レポートは今まで安価で豊富にあった資源が無くなりつつあることを数値を示して証明している。 EWGの創始者で、ドイツの「再生可能エネルギー優先法(EEG)」の成文にも携わった 緑の党のエネルギー問題担当のハンス=ヨーゼフ・フェル(Hans-Josef Fell)連邦議会議員は、オイルピークは2006年だったとし、「遅くとも世界規模で石油の採掘量が減り出す時点から、石油を調達することが大きな問題になる。そして10年、20年先には石油の供給不足を天然ガスや石炭でカバーすることも出来なくなる。原子力も将来のエネルギー供給に大きな影響力はない」と語る。

例えば、石油大手のBP社や国際エネルギー機関(IEA)の予測では、シェールオイルとシェールガスの採掘を可能にするフラッキングなどの新しい技術が開発されたことで、これから数十年の間、市場には十分な化石燃料が提供され、価格も下がるとなっている。米国はシェールガスブームで、 天然ガスが二酸化炭素の排出量の多い石炭に取って代わるようになり、下がる燃料費が同国の工業を盛り返すだろうとも言われている。また米国がフラッキングのおかげで石油輸出国になるだろうとの予測もある。

しかしEWGのレポートによると、資源が無限でないことは明らかだ。例えば欧州の現在の石油採掘量は2000年に比べて既に60%も減少している。全世界の石油採掘量も2030年前後までに2012年比で約40%減少する。米国のシェールオイル採掘量はこれから5年後にピークを迎え、同国が石油輸出国になるという予測は実現しない。

欧州での天然ガスの採掘量は2000年以後減少しており、2030年ごろにはノルウェーの採掘量も峠を超す。米国でシェールガスの採掘量が最大限に達するのは2015年前後で、2030年ごろの採掘量は現在よりずっと少なくなっているだろうという。ロシアの大規模ガス田でも採掘量は減り出している。

中国の石炭需要は国内生産では間に合わなくなり、中国は現在日本と並んで、世界の石炭大量輸入国になっている。現時点ではオーストラリアとインドネシアが主な石炭輸出国だが、中国やインドの需要がこれからも増加し続けるなら、石炭も2020年ごろに採掘量が最高値に達し、それ以後には減る。

今回のEWGレポート作成には、2003年に死去した航空エンジニアのルードウィッヒ・ベルコー氏(ドイツで過去に有名だった航空機メーカー、メッサーシュミット・ベルコー・ブローム社の創立者の一人)の財団、再生可能エネルギーの研究に力を入れていたライナー・レモワン氏( Qセルスやソーロンなどのソーラーパネルメーカーの創設者、2006年に死去)の財団が資金を提供した。調査に携わった学者はヴェルナー・ツィッテル博士の他、ヤン・ツェルフーゼン(Jan Zerhusen)工学士、マルティン・ゼルタ(Martin Zerta)工学士など。

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