電力料金の値上げは無効?

ツェルディック 野尻紘子 / 2012年12月2日

2013年1月1日からの電気料金値上げが11月中旬、ドイツのほとんど全ての電力供給会社から一斉に発表された。値上げは、遅くとも6週間前までに発表し、郵便で顧客に伝えるべし、とする条例があるからだ。来年1月からの値上げの6週間前は11月20日で、期限が切れるのは真夜中だ。しかし例えば、ドイツ北部をカバーする大手の電力供給会社であるファッテンファルがAさんに値上げをメールで伝えたのは20日の夜中の23時53分、Bさんにメールが着いたのは真夜中を過ぎた2時46分だった。郵便を21日に受け取った顧客も少なくないようだ。そこでこの際、値上げは無効なのではないかと喜ぶ声があがっている。ファッテンファルの値上げ幅はとびきり大きく約13%。便乗値上げも疑われるからだ。

ファッテンファルは、値上げ規制の条例の要請通り、11月19日に新聞広告で値上げを告知した。同時に230万人の顧客宛の郵便も発送したと表明している。しかし郵便が20日に着かなかったケースもある。従って正確な問題は、郵便は20日中に顧客の手元に届くべきだったのか、それとも21日以前に投函されていればそれで良かったのかということになる。

ハンブルクの消費者連盟は、この値上げを無効だとし、1月からの値上げ分を払う必要はないと主張する。しかし、ベルリンの消費者連盟は、値上げは1ヶ月遅れで2月に有効になるだけだから、とやかく言うより、有利な電力供給会社に変更する方が賢いと勧める。ドイツには現在約1000社の電力供給会社があり、料金は様々で、会社を変えることはメール一本でも出来るほどごく簡単だ

電力供給会社は、この10月に発表された来年1月からの再生可能電力促進のための賦課金の値上げが、今回の値上げの理由というが、全国平均で約12%の値上げは、明らかに便乗値上げの疑いが強い。アルトマイヤー連邦環境相は「電力取引所での取引価格が下がっている現在、理解に苦しむ」と批判している。全国電力消費者連盟のペータース会長は「電力供給会社は、エネルギー転換を理由とするが、正当な値上げ幅は6%止まりだ」と話す。

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