やる気満々の新連邦環境相語る

こちゃん / 2012年9月30日

3ヶ月前に就任したばかりのドイツのアルトマイヤー新連邦環境相との記者会見に出席した。メルケル首相による前任者の更迭で思わぬチャンスが回って来たことが嬉しいのか、各方面から「ヘラクレスの大仕事」、「ドイツ統一にも匹敵する大事業」などと言われるドイツのエネルギー転換に自分が貢献出来る事を喜んでいるのか、仕事が楽しくてしょうがないというような印象を与える人物だ。この会見は外国人記者が対象で、日本の大手メディアからも数人の記者が参加していた。質疑応答形式で行われ、種々質問が出たが、内容に制限はなかった。みどりの1kWhで既に紹介して来た内容の返答も多かったが、以下にまとめる。

ドイツのエネルギー転換の大切なポイントは ①2022年までに脱原発を達成すること、②2050年までに電力の80%を再生可能エネルギーでまかなうこと、③電気料金を誰にでも支払い可能な範囲内に抑えることである。現在、再生可能電力が増え、それを固定価格で買い取る再生可能エネルギー優先法(EEG)があるために電気料金が上がって来ているが、太陽光電力の買い取り価格は将来ずっと安くなるはずだし、風力電力も5、6年中に買い取り価格は下がる見込みだ。また、この法律は 過去12年間に立派な成果を挙げたが、10–15ヶ月以内に根本的に改正する予定だ。

アルトマイヤー連邦環境相は、エネルギー転換で最も大切なのは、安定的な電力供給が確保されることだと強調した。そのための欧州での電力協力体制の意義は大きい。ドイツが原子炉8基を停止した後にも隣接国間の電力の輸出入は総合的に見て変わっていない。ということは、ドイツは総合的に見て、2012年前半もまた電力輸出国に留まった。フランスの原発は、夏には冷却のための河川の温度が上がり停止せざるをえなくなることが多いので、ドイツからの輸入を必要とし、冬には電気暖房のスイッチを入れるからドイツからの輸入に頼っている。オランダなどの隣接国に、お天気の良い日、あるいは風の強い日に多量の再生可能電力が流れることについて、環境相は、それをオランダが歓迎するか否か、それは企業間の合意で解決して欲しいとした。

ドイツでは2022年までに脱原発を決定したことに反対する声は聞かれない。しかし電力の安定供給のためには火力発電も欠かせない。環境相は8月半ばに、ノルトライン・ヴェストファーレン州の新しい褐炭火力発電所の操業開始に立ち会った。この発電所は褐炭発電所として世界最高の効率43%を持っている。

北海洋上の風力発電装置のケーブル接続が問題になっているオランダの国営送電網運営企業のドイツ子会社テネットに関しては、このほど選出された新しいオランダ政府と話し合うつもりだ。中国製の安価な太陽光パネルに関しても、法廷に訴えるのではなく、同国政府との話し合いで政治的に解決したいと発言した。

エネルギー転換の大切な柱の一つである節電に関しては、特に一般家庭で約30%の節電が可能だと言われるので、政府として一般家庭の省エネ訪問診断に資金を援助し、低所得家庭の場合はそれを無料にする。

個人的な節電について質問された環境相は、「数ヶ月前に(自分の好きな料理をするために)台所を一新し、その際、効率の良い冷蔵庫と冷凍庫を買ったのだが、古い効率の悪い冷凍庫をそのまま我が家の地下室に持って行き、再びスイッチを入れたのは間違っていた」と話した。それでは一つも節電にならないからだ。新しい暖房用ポンプは、従来のポンプの20%しか電力を必要としないので、自宅のポンプも近々新しくしようと考えているという。

ドイツが脱原発を決定してから、脱原発という構想が迫力を増し、国際的にも関心を集めている。ドイツの新しい政策はベルギー、スイス、日本に新しい政策をもたらし、英国やイタリアでも原発を少なくする傾向が見られる。また、フランスとの関係については、「オランド新大統領の原発依存度を75%から50%に減らすという公約は、ドイツが25%の原発を0%に下げるのに等しい割合で、今後フランスの関係者との協力を蜜にしていく」と述べた。

環境相は8月に、エネルギー転換を真剣に追求する国々の代表者たちと電話で意見を交換した。これらごく一握りの国々には再生可能エネルギー分野のフロントランナーたちが数多くおり、一緒に「再生可能エネルギー国クラブ」を形成したいと考えている。日本がその数カ国の中に入っているかどうかは明らかにしなかったが、日本の関係大臣とも積極的に意見を交換したいと話した。また、秋に設置が決まる予定の国連のグリーン・クライメート・ファンドを、旧西ドイツの首都ボンに誘致したいと希望を述べた。ボンには既にいくつかの他の国連施設が存在し、インフラが整っている。

母国語のドイツ語の他に英語、故郷のザールランド州のすぐ隣のフランス語、オランダ語の堪能なアルトマイヤー環境相は、話し好きで、時にはフィンランド語まで交えて、各国特派員の質問に親切に答えてくれた。好感の持てる人物で、「今ドイツで一番の問題は、ドイツの16州それぞれが、他州に依存しない電力の自給自足を求めて躍起になって独自の電力供給構想を練っていることだ」と語るが、 これからも過去3ヶ月のようにあちこちに飛び回り、関係者と積極的に話し合いを行えば、無駄や統一性の欠如も改良され、脱原発計画がよりスムーズに進むのではないだろうかと思った。

 

One Response to やる気満々の新連邦環境相語る

  1. みづき says:

    >ドイツのエネルギー転換に自分が貢献出来る事を喜んでいるのか、
    >仕事が楽しくてしょうがないというような印象を与える人物だ。

    こういう人が環境相になったというのは、いいことですね。
    やっぱりポジティブなイメージって大切ですし。

    そう言えば、日本のニュースで、「国民の生活が第一」党の
    小沢党首が、ドイツの脱原発を視察するためにドイツに飛んで
    アルトマイヤー氏に会う、というのを見ました。
    もう実現されたのか、これからの予定なのかは
    忘れてしまいましたが…。
    どういう話し合いが行われたのか知りたいなあと思いました。