ドイツの政治家の夏休みの過ごし方 

まる / 2012年9月16日

ドイツ連邦議会は、今年6月29日から9月11日まで夏休みでした。この時期、動かないのは政治だけではなく、劇場や交響楽団、ギャラリーなどの文化界、ブンデスリーガなどのスポーツ界もシーズンオフで、ドイツは冬眠ではなく夏眠状態といった感じです。いつもはさまざまな政界の動きを伝えるニュース番組も、この時期には伝えることが不足するため、いわゆる”夏の穴を埋める話”といわれるような、とりとめのない話を扱います。

そんな中突如、ペーター・アルトマイヤー連邦環境相が8月16日に、エネルギー転換に向けての2013年(総選挙があります)の目標10項目を発表し、夏眠状態から起こされた気がしました。

その10項目とは。

1)エネルギー転換を現代の環境、経済政策の主要課題として効率的に成功させる。

2)気候保護対策に新たな弾みをつける

3)核廃棄物処理について、国民の同意のもとに解決する

4)自然保護と水資源保護を押し進める

5)資源ゴミの再利用を、循環型経済の中心的要素として強化する

6)電磁波による影響を少なくする

7)新型ガス採掘方法(フラッキング)に関しては、責任を持って行う

8)環境政策が成功するためには、市民参加と透明性が必要である

9)国連リオ地球環境サミットからの教訓を得て、欧州と国際環境政策に新しい道を示す

10)2013年までの展望

アルトマイヤー環境相は、「資源を大切にしなければ経済は繁栄しない」、「経済界を味方につけて、ドイツという経済立地を強化しなければ環境保護は上手くいかない」と説明し、「エネルギー転換を、国民共通のアイデンティティーを生み出すような共同体の事業としなければいけない」、「エネルギー転換を成功させれば、これから30年間、世界の中でのドイツの立場を確保できる」と強調しました。

またドイツでは、エネルギー転換のため今年10月に再生可能電力の賦課金が値上がりすることが決定されています。アルトマイヤー環境相は個人消費者が30%の節電をすれば電力料金は抑えられるとして、低所得家庭を対象にエネルギーの無料相談を導入したいと言っています。

夏眠が退屈になったのか、他の政治家たちが動いていない間を利用して自分をアピールしたいのか、トークショーに積極参加する政治家も多いですが、アルトマイヤー環境相もご多聞にもれず。「本当は痩せている人を羨ましく思うのだが、自分の巨体が政治的に有効な時もある」、「忙しくて大好きなお料理ができない」など、プライベートな話も混ぜながら、エネルギー転換に向けての行動意欲がみなぎっていることをお茶の間に知らしめています。

 

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