脱原発でアウトバーンの疾走に終止符?

こちゃん / 2011年11月13日

速い車と速度制限のない高速道路アウトバーンが有名なドイツ。カール・ベンツが自動車を発明して今年で丁度125年になるが、国の脱原発決定で、ひょっとするとガソリンエンジンがお払い箱になり、車の疾走に終止符が打たれるようになるかも知れない。

脱原発後にドイツが電力供給源として大きな期待をかけているのは太陽光発電や風力発電などの再生可エネルギー。ところが、天候などに左右される自然エネルギーによる発電は、常時同量の発電が出来ない。発電が可能な時間帯に余剰電力を貯蔵し、発電不可能な時間帯に貯蔵電力を使用する方法が必要だ。

そこで話題になっているのが電気自動車。通常のバッテリーのように、車のバッテリーに余剰電力を充電すれば、必要な時にそこから電力を取り出すことが出来る。車の駆動に使う場合は二酸化炭素を出さないから環境保護になるし、その内やって来るとされる石油枯渇の対策にもなる。

現在ドイツを走っている電気自動車は約2300台だが、政府は、2020年年までに電気自動車100万台の導入を目指しており、数千億円単位の資金援助を考えている。そして、その後は電気自動車が次第にどんどん増えて行くというシナリオを描いている。

電気自動車が普及すればするほど、アウトバーンでの高速運転には危険が伴う。あまり高速の出ない電気自動車が時速80km程度で走っている時に、例えば、後ろから来た従来の車が時速250kmで追い越すことになれば、危険性は極めて高くなるからだ。そこで、環境保護団体などが何度要求しても到達出来なかったアウトバーンでの速度制限が自然に達成できるようになるかも知れない。

ドイツでは、今から90年前の1921年にアウトバーンの先駆けである自動車交通練習道路Avusがベルリンで開通して以来、自動車専用道路で速度制限が設けられたのは戦前戦後の1939年から1953年までだけ(当時の制限は時速60km)。理由は交通事故の多発(例えば1930年の死亡者数8000人)とガソリン不足。出征前の若者を守ることも頭にあった。

戦後、自動車業界は「ドイツの高性能エンジンを世界に見せるべきだ」と論争、制限撤去を勝ち取った。60年代、70年代のモットーは「自由市民に自由な走行」。80年代に問題となった排気ガスによる森林枯死の危険には、排気量を減らす速度制限ではなく、排気ガス浄化装置で答えた。

ヴッパタール気候環境エネルギー研究所のカール・オットー・シャラベック教授は、「ドイツ人の疾走マニアは特別で、アメリカ人の武器マニアのようなものだ」と語る。

現在、ドイツのアウトバーン網は約1万2000kmで、その中で一定の高い基準が満たされている全体の60%に速度制限が導入されていない。

 

One Response to 脱原発でアウトバーンの疾走に終止符?

  1. みづき says:

    面白い記事でした。
    「自由市民に自由な走行」というところまで読んで、
    「アメリカ人みたいだな」と思ったのですが、
    ブッパタール気候環境エネルギー研究所の
    カール・オットー・シャラベック教授も同じことを
    言ってらっしゃいますね!

    私は、銃社会を思い浮かべると同時に、
    「アメリカでは、医療保険が高すぎて入れない人が多い。
    しかし、国民皆保険を導入しようとすると、
    共産主義的だと反対する人が多い」という話を
    思い浮かべました。

    日本から見ると、ドイツは社会主義的な部分が多いように
    見えますが(税金が高くて福祉が比較的充実)、こんなところで
    妙に自由主義的とは面白いです。

    ところで、このウェブサイトの執筆者の
    プロフィールは載せないのでしょうか?
    面白い記事を見ると「これを書いた人は、
    いったいどんな人なんだろう」というところに
    興味がわくんです。

    とくに、「こちゃん」さん、「まる」さんは、
    ジャーナリスティックな記事が多く、きっと
    別のところでも記事を書いていらっしゃるのでは…と
    想像しています。
    機会があれば、そちらも読んでみたいですし。

    「じゅん」さんは個人的に存じ上げていますが、
    「じゅん」さんの記事はいつも、
    「さすがだなー」と思って、読んでいます。